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農民連全国委員会決議
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2018年6月13日
農民運動全国連合会

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1.情勢と当面のたたかいについて

(1)安倍政権をどう見るか、どうたたかうか

 (1)憲法無視、政治の私物化が招いた政治の堕落

 森友や加計学園問題、イラク・南スーダンの日報隠ぺい、厚労省データねつ造と過労死隠し、財務事務次官のセクハラ問題など、安倍政権の腐敗・堕落は底なしの状況です。

 森友学園問題は、交渉記録と改ざん前の決裁文書に繰り返し安倍昭恵夫人が関与していたことが生々しく記述され、加計問題では、2015年2月に安倍首相が学園理事長と面談し、「新しい獣医大学の考えはいいね」と語るなど、安倍首相と昭恵夫人の関与はもはや疑いの余地がない状況となっています。こうした事実を覆い隠して「私や妻が関与していたら、首相も議員も辞任する」と居直ったことが、問題の起点となったことは明らかです。

 引き起されている問題は、どれも安倍首相の政治の私物化、憲法違反の暴走政治に端を発したものです。こうした民主主義の根幹にかかわる重大問題を一部の官僚への軽い処分で幕引きさせることは絶対に容認できません。農民連は安倍内閣の退陣を要求します。

 北朝鮮問題をめぐって、いま、南北首脳会談や米朝首脳会談で朝鮮戦争の終結や朝鮮半島の非核化がテーマとなり大きく進展しつつあります。

 こうしたなかでトランプ頼みに話し合いを拒否して圧力一辺倒の対応を行ってきた安倍政権は国際社会から孤立しています。

 安倍政権は、安全保障環境の悪化を口実に憲法の解釈をねじ曲げ、集団的自衛権行使を容認し、安保法制などの違憲立法を強行成立させ、いま、9条改憲に執念を燃やしています。また、軍拡政治をエスカレートさせて、迎撃ミサイルや「空母」の配備計画、辺野古への新基地建設などの軍事対応態勢を強化してきました。これらは、“北の脅威”を主な口実にしたものです。

 いま、起きている動きは、安倍政治の論理と外交「戦略」が崩壊しつつあることを示しています。

 まさしく、内政・外交とも安倍政治の行き詰まりは深刻で、“末期状態”に陥っています。ここにいまの情勢の最大の特徴があります。

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報告する吉川利明事務局長

 (2)安倍ノーの世論に居直ってアメリカと財界の利益のために暴走する安倍政権

 国民の政治への信頼を失墜させ、“安倍政治ノー”の世論が高揚しているなかで、安倍政権はモリ・カケ疑惑には居直る一方、財界の“悲願”である「働き方改革法案」や、アメリカと財界が求めるカジノ法案(IR法案)、国益を売り渡しアメリカの対日農産物自由化の基準になるTPP11協定案と関連法案、卸売市場法改悪案など稀代の悪法を、会期を32日間も延長し、成立させるために暴走しています。会期内に成立しない法案は廃案にすべきです。ここには、国民の支持を失ってなお、懸命にアメリカと財界の利益に尽くす安倍政権の本質が示されています。

 (3)いまこそ市民と野党の共闘で安倍政権に変わる受け皿をつくるとき

 内政・外交とも安倍政権の行き詰まりは深刻で、内閣支持率が30%台の前半まで落ち込み、不支持は50%前後となっています。特に農業関係者の安倍政権への不信は顕著で、日本農業新聞のモニター調査(4月18日)では、内閣不支持が65・4%と、支持率34%の2倍近くあり、不支持の理由のトップが「安倍首相が信頼できない」で半数となっています。まさしく“政権末期の水準”にあり、安倍政権を打倒する絶好のチャンスです。

 世論の多数が安倍政権を支持しない状況の下で、国民が求めているのは、安倍政権に変わる政治の“受け皿”です。民意を無視した暴走を止めるには、さらに「安倍ノー」の世論を高揚させるとともに、政治を変える民主主義の装置である選挙で審判を下すことです。

 来夏の参院選で市民と野党の共闘を発展させ、自公を過半数割れに追い込む流れを何としても作らなければなりません。この流れが十分に作られていないことが、安倍首相が居座っている最大の要因でもあります。

 こうしたなか、6月10日に投開票された新潟県知事選挙は、池田ちかこ候補が当選には至らなかったものの大健闘しました。

 新潟県農民連は、全国の支援を受けて原発再稼働ノー、安倍官邸農政ストップ、戸別所得補償の復活を掲げ全力をあげました。県農政連が自公丸抱え候補を推薦する中で、農民や農協のなかで池田候補への期待が大きく広がりました。

 5野党・1会派がそろって池田候補の推薦を決め、共同してたたかったことは今後につながる大きな財産をつくりました。

 この教訓を生かし、来年の参院選に向けて市民と野党の共同を広げましょう。

 (4)憲法9条改憲阻止・3000万人署名で安倍政権を追いつめよう

 5月をめどに取り組まれた「安倍改憲阻止・3000万人署名」は全国で約1300万人分に到達していますが、目標達成は道半ばとなっています。安倍政権は改憲をあきらめておらず、3000万人をめざして引き続きとりくみましょう。9条を守るたたかいは、安倍政権を打倒するたたかいです。

(2)TPP11の承認は、 自由化ドミノの始まり

 (1)TPP11の承認の撤回を求めて

 TPP11の承認案を6月13日に参議院本会議で強行可決したのに続き、関連法案も6月29日、自民、公明、維新などの賛成多数で強行採決、成立しました。

 国会での審議は、承認案で衆参あわせてわずか11時間、関連法案でも参考人質疑・連合審査を含めても、わずか36時間の審議で打ち切り、採決を強行しました。

 安倍首相は「アメリカ抜きのTPPは考えられない。TPPはガラス細工のようなもので、どれ一つかけても崩れてしまう」と言っていましたが、TPP11の経済規模はTPP12の3分の1に激減し、各分野への影響も様変わりしています。関連する委員会も多岐にわたっており、わずか6時間の農水委員会との連合審査だけで強行したことは重大です。

 アメリカが離脱したにもかかわらず、日本政府が修正を要求しなかったために、牛肉・乳製品などのセーフガード(緊急輸入制限)・低関税輸入枠はそのまま残り、TPP12以上に農業への打撃を与えることは必至です。TPPの牛肉セーフガードの発動基準は、発効時59万トンで、16年目に73・8万トンに増えます。2016年度の牛肉輸入量は52・6万トンで、そのうちオーストラリア産が最大で27・7万トン、アメリカ産は20万トンです。オーストラリア産の牛肉が倍増(55・4万トン)したとしても、セーフガードは発動されません。一方、アメリカ産牛肉が減ることはありえません。日本の酪農・畜産への影響は計り知れません。

 政府は、第6条の見直し規定があるから大丈夫だと説明してきましたが、質疑の中で単なる口約束にすぎないことがはっきりしました。さらに見直しを提案する時期も不明確のままです。私たちの指摘が現実のものとなりかねません。

 また、輸入量の試算もせずに「生産量は変わらない」と強弁し、輸出量の試算もしていないのに「農業者にとってチャンス」だと言う、これほど無責任なことはありません。

 不十分な審議の中でも、TPPの影響は農業だけにとどまらず、輸入農産物の検査の省略や、遺伝子組み換え食品の輸入促進、医薬品価格決定へのアメリカ製薬企業の関与、医療保険の空洞化など、国民の命や暮らしに関わるさまざまな制度をなし崩し的に破壊する本質は変わらないことが明らかになりました。

 TPP11の成立は自由化ドミノの始まりであり、極めて無責任な暴走です。

 TPP11の承認撤回を求めると同時に、国際的な自由貿易万能主義に反対する運動との連帯も強め、根本的な政策転換を求める運動に合流します。

 (2)トランプ通商政策、 日米2国間協議・FTA

 安倍政権は「TPP11の合意内容が、日本にとっては対米交渉での最終防衛ライン」といっていますが、トランプ政権にとってはスタートラインです。トランプ政権にとって、TPP復帰発言は、農業団体や多国籍企業に対する「リップサービス」以外の何物でもなく、貿易赤字解消第一主義・アメリカ第一主義の立場から、どう喝とディールを強要できる2国間交渉一辺倒であることにゆるぎはありません。

 「新貿易協議機関」は日米FTA(自由貿易協定)の入り口であり、「着手金」「前払い金」を要求される場となります。「新協議機関」の中心は、日米FTA交渉が開始すれば交渉責任者となるライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表と茂木経済再生相であることが、雄弁に物語っています。ライトハイザー氏は、就任にあたって「農産物は、日本が第一の標的となる」「TPP交渉を上回る合意を目指す」と公言してきました。

 日欧EPA(経済連携協定)、日米2国間協議を徹底的に監視しながら、日米FTAに対する警戒と反対の運動を強めましょう。

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(新聞「農民」2018.7.9付)