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税負担増に怒りの声

インボイス導入後 初の申告
消費税・インボイスは農業つぶし
減税とインボイス中止を

 インボイス(適格請求書)制度の導入後初めての税金申告を迎え、各地から不安や怒りの声が上がっています。

 表に年間の農業売り上げ500万円、駐車場貸し付けの売り上げ200万円の農家が、昨年10月からインボイス登録に伴い課税事業者となった場合の消費税額の試算を掲載します。

 奈良県の学習会では「思ったよりも納付額が少ない」という感想が出ました。しかし、23年分の申告は10~12月の3カ月のみが対象です。来年からは4倍強の税額になってしまいます。

 「インボイスの申告は今回だけだと思っていた」という人もいました。しかし、登録をやめない限り、消費税の課税義務が続きます。しかも激変緩和措置がなくなるため、税負担は増えていきます。表の試算だと4年後には23年の6・7倍もの負担になります。

大阪府泉佐野市で開かれた重税反対集会

 大阪でトマトと米を栽培する59歳の農家は、異常気象による高温障害などで23年の収入が約1割減少しました。肥料や物価高騰で、経費を引いた農業所得の赤字額は22年の倍になり、不動産所得で補てんして農業経営を維持しています。

 売り上げが500万円程度なのでこれまで非課税事業者でしたが、取引先の関係でインボイス登録をしました。

 「3カ月分で2万1000円の消費税を支払った。来年は4倍の8万4000円の納税が予想される。これでは営農意欲も未来への希望も持てない。消費税は減税してインボイスは中止してほしい」と切実に訴えています。

 インボイスは登録を取り消すことができます。24年12月17日までに取り消し届を提出すれば、23年の売り上げが1000万円以下であれば25年からの消費税は不要になります。

 「収支が赤字でも消費税税負担を強要するインボイス制度は中止、消費税は減税せよ」の声を大きく上げていきましょう。