新聞「農民」アイコン新聞「農民」

DPJ(デトックス・プロジェクト・ジャパン)が報告会

ネオニコ系農薬汚染
子ども50人の尿を検査
全員から検出
学校給食には有機米を

子どもの健康への懸念を語る報告者のみなさん

 農民、市民、消費者、生協などによるさまざまな団体・個人からなり、私たちの体内に入った農薬を調べている「デトックス・プロジェクト・ジャパン」(DPJ)は3月14日、衆議院第1議員会館(オンライン併催)で、「子ども検査プロジェクト報告会~農薬ネオニコから子どもを守ろう~」を開きました。今回は子どものネオニコ汚染状況を把握するため、小学生を対象に尿検査を実施しました。

 共同代表の印鑰(いんやく)智哉さんが開会あいさつ。「子どもたちの体内にどれだけの農薬が残留しているのか調べることは、今後の農薬再評価の議論の上でも大きな意義がある」と述べました。

1人から複数 最大8成分検出

 検査を担当した農民連食品分析センターの八田純人所長が「小学生50名の尿中ネオニコ検査からみえてきたもの」について報告。コープ自然派しこくと農民連女性部のみなさんを中心に協力を仰ぎ、小学生50人の尿検査を実施しました。

 結果は、50人全員からの検出が確認され、ネオニコ系農薬7成分のうち6成分を検出。子ども1人あたりから複数の検出が認められ、最大で8成分が検出された子どもも。

 同時に行ったアンケートでは、普段の食生活で有機や無農薬農産物を取り入れているという回答が38人いるなかで、「無農薬農産物を入手しやすい生協などを利用することで農薬摂取が少ないと考えられる環境が背景にあることがうかがえる。検出は、外食、いただきものなどからとも考えられる」と報告しました。

健康への影響 禁止・規制を

 その後、「農薬を減らし、安心・安全な食のためにできること」について討論。木村―黒田純子さん(環境脳神経科学情報センター副代表)は、「今回の調査で子どものネオニコばく露(体に浴び、摂取されること)が高い率で検出されたが、このような低濃度では体に悪影響がでることは少ないと考えられる」と説明。「しかし、子どもの発達に悪影響を及ぼす有害化学物質はネオニコ以外にも有機リン系殺虫剤や除草剤グリホサートなどでも報告されている。子どもの健康への影響を考える際には総合的な対策が必要ではないか」と提起しました。

 安田節子さん(食政策センタービジョン21主宰)は、「EU諸国がネオニコ農薬と類似農薬の禁止・規制に向かっているなかで、日本は残留農薬基準の緩さで突出している」と批判。子どもへの影響に懸念を示し、「主食の米は有機米に、学校給食には有機米を」と訴えました。

 閉会あいさつを山田正彦共同代表(元農水大臣、弁護士)が行い、「引き続き調査を強め、農薬汚染から子どもたちを守ろう」と呼びかけました。