「農民」記事データベース20010219-481-05

ただちに緊急輸入制限(セーフガード)の発動を

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セーフガード(緊急輸入制限)って?


セーフガード すぐ発動も対象品目の拡大も

要は政府のやる気しだい

 日本は団体の請願権なし損害調査体制もなしアメリカや韓国と大違い

 政府は農家に対し、五年間にわたるネギの収穫量・出荷量・加工仕向量や“ネギ用”の「作業衣料費」「利子割引料」など十七項目にわたる経費の明細を示せ――などと、無理難題というべき「調査票」に対する回答を求めています。

 そして、この調査結果を“慎重かつ正確に”集計し、三月二十二日から一カ月以上も縦覧に付したうえで、セーフガードを発動するかどうかを検討するというスローモーぶりです。

 輸入が急増して価格が下がるからこそ発動してほしいのがセーフガードです。日本政府のやり方は“泥棒をつかまえて縄をなう”どころか、泥棒をつかまえてから稲を植え、秋まで待ってやっとワラをとり、縄をなうようなもの。これでは泥棒は逃げてしまいます。

 一方、アメリカや韓国は輸入急増と価格低下が始まったとたんにセーフガードを発動しています。なぜ、こんなに違うのか?

 そのワケは、アメリカや韓国が被害団体の要請にもとづいて調査に乗り出し、しかも専任の調査機関があるのに対し、日本は団体の請願権を認めず専任の調査機関を持っていないため。

 アメリカ「国際貿易委員会」三百六十五人のスタッフで

 アメリカのセーフガード発動の仕組みは(1)関係団体・労組・企業の提訴、(2)政府の要請、(3)国会の決議などにもとづいて「国際貿易委員会」が調査を開始し、被害があることがはっきりすれば、政府に発動を勧告します。

 しかも、そのスタッフは三百六十五人。専任職員ゼロの日本とは大違いです。

 韓国「貿易委員会」スタッフ五十人

 韓国も生産者団体か管轄省庁などがセーフガード発動調査の請願か申請を行うと、行政から独立した「韓国貿易委員会」が即刻受理し、一カ月以内に「調査開始」を決定します。

 スタッフは五十人。五つある課のうち「損害調査第二課」が「農産品等担当」。

 日本 専門の調査体制も生産者団体の請願権もなし

 一方、日本では関係団体の権利が認められていません。関係三省庁が集まって、いつ終わるともしれない長談義をしたうえで、政府が正式「調査」に乗り出して初めて意見を言うことができます。それまで関係団体の出番はありません。昨年春先の大暴落時のように、政府が「輸入が増えたせいではない」と知らぬフリをしていても、農業・農民団体はモノを言う権限さえない――アメリカや韓国に比べて、明らかに非民主的で遅れたやり方です。

 そのうえ専門スタッフはゼロ。「セーフガード問題に携わる職員はすべて兼務であり、サービス残業でやっていてきわめて厳しい」(農水省総合食料局の担当者)。職員によると「オレたちにはサービス残業をさせているが、上は全然やる気がない」のが実態。

 関係団体の要求があれば調査に乗り出すように制度を改正すること、専門の調査体制を作ること――これはWTO改定を待つまでもなく、政府さえその気になれば、いますぐできること。「調査」からはずされた玉ネギやトマト、ピーマンを含め、機敏にセーフガードを発動するためには、どうしても必要です。

(新聞「農民」2001.2.19付)
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