「農民」記事データベース20010219-481-08

ただちに緊急輸入制限(セーフガード)の発動を

日本の農業と国民の食糧を守れ

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セーフガード(緊急輸入制限)って?


価格暴落の真犯人

大商社・食品企業の開発輸入

 “泥棒をとらえてみればわが子なり”といいますが、野菜の輸入急増の背景にあるのは、日本の大商社・食品企業の「開発輸入」戦略。種子も肥料も農薬も日本製、農業技術者をつれていき、日本の野菜産地とよく似た気象条件の地域を探し出して野菜を作る――。

 海外投資額は7年で5倍化

 たとえば、日本企業が中国に作っている冷凍・加工野菜工場は九二年の八十から九七年には二百三工場。実に二・五倍以上です。また、日本企業の海外直接投資は食品加工を含む製造業で九二年の九十億ドルから九九年には四百二十億ドルへと五倍近く。

 ねらいは低賃金と安い原料価格。アジアに進出している企業の四八%が現地労働力の低賃金を求めて(アセアン諸国では六五%)。

 また東京農大の藤島廣二教授らの調査によると、中国産野菜の価格は、ニンジンが一キロ三円で、日本(百五十八円)の百分の二以下。大根やナスも百分の五前後です。

 中国当局も野菜や果物の輸出にはきわめて熱心です。「外貨獲得農業モデル地区」の一つ、山東省煙台地域の野菜・果物の栽培面積は二十九万ヘクタール(九〇年の二倍)、地区内百六十万戸の農家の収入のうち六五%が農産物の輸出・加工に依存しているといいます(農水省ホームページ)。

 当然、日本政府のセーフガード発動の動きにも敏感で、中国の新聞は「日本向け輸出作物(玉ネギ、ネギ、トマトなど)がなお大量の在庫を抱えている」という日本商社のコメントを紹介したうえで、日本のセーフガード発動に「懸念」を表明しています(同前)。

 発動避ける日本政府

 日本政府は二〇〇一年に入って、中国・韓国政府との話し合いで野菜の輸出を「自主規制」させることによって、セーフガード発動を避けようとしています。

 しかし「輸出自主規制」という不透明なやり方はWTOが厳禁していること。しかも、九三〜九四年にもニンニク・ショウガの「自主規制」でお茶をにごしましたが、効果があったのはたった二年で、その後には輸入が急増したという苦い経験を繰り返してはなりません。

 日本の大商社・大企業が開発輸入に本格的に乗り出し、輸出国側も日本向け輸出にきわめて熱心という構造のもと、ただちにセーフガードを発動すべきです。

(新聞「農民」2001.2.19付)
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