アイコン 新聞「農民」

農民連女性部第36回総会 静岡県伊豆長岡で 5年ぶりにリアル開催 アグロエコロジーとジェンダー平等で農村に希望を!(2025年02月10日 第1637号)

興味あること、したいことを大切に、地域の女性部を次世代につなげよう

 「楽しいことも、苦しいことも、時には悲しいことも、なんでも語り合える仲間がいる。そんな場所が農民連女性部なんだと実感できた」――農民連女性部第36回総会が静岡県伊豆長岡温泉で開催され、全国から80人を超える参加者が集いました。>

多重危機解決の主人公は農民

質問に答える印鑰さん(右)と齊藤さん(中央)と浅子さん

 コロナ禍を経て、5年ぶりのリアル開催となった今年の総会は、「全国の仲間がこうしてまた顔を合わせることができ、本当に感慨深い。楽しい総会にしていきましょう!」との沖津由子部長の開会あいさつでスタート。
 婦団連(日本婦人団体連合会)の小畑雅子会長の来賓あいさつ、日本共産党の紙智子参院議員のビデオメッセージに続いて、OKシードプロジェクト事務局長で民間稲作研究所の印鑰(いんやく)智哉さんが「多重危機同時進行の中、日本の食はどうなる?――解決策としてもアグロエコロジー」をテーマに、記念講演しました。
 印鑰さんは、気候危機や生物多様性の危機などの根源には工業的農業の問題があると指摘。細胞培養食品などのフードテックの問題点も紹介し、「アグロエコロジーは環境によいだけでなく、大企業による食のシステムを変え、工業的農業が破壊してきたもの――その中には女性の権利も含まれる――を取り戻す運動でもある」と強調しました。
 また地域農業が破壊されるなか、世界中の貧困層が安い加工食品を食べざるを得なくなっている現状にも言及し、「アグロエコロジーを進める農家が、多重危機を食い止める主人公。農家としての生存権を守る政策を、社会の基軸政策に。食料主権(食の決定権)と生存権を取り戻そう」と呼びかけました。
 岩手県女性部の齊藤富喜子さんと埼玉県女性部の浅子紀子さんが、アグロエコロジーの実践を報告しました。

農村女性の要求に応えた活動を

 2日目は総会が行われ、農民連の長谷川敏郎会長のあいさつに続いて、茨城県女性部の久保幸子さんが、昨年10月にスイス・ジュネーブで行われた女性差別撤廃委員会でのロビー活動について特別報告。満川暁代事務局長が議案を提案し、「農民連女性部の魅力は、運動の力で困難を解決していく展望を持って、農村女性一人一人の悩みや困難を共有し合えること。気軽におしゃべりができる地域の女性部活動を活発にしていこう。農民連女性部を次世代につないでいこう」と訴えました。
 討論では、各地の女性部から多彩な女性部活動の報告が相次ぎました。
 福島からは3つの地域女性部が発言。福島県北農民連の佐藤紫苑(しおん)さんは、「イベントごとに農民連会員以外にも声をかけ、女性部を知ってもらっている。興味やしたいこと、知りたいことを聞き出し、双方で教え合うことを大切にしている」と語りました。
 神奈川県女性部の小島八重子さんは、「県要請で農民連女性部のアンケート調査の結果を活用して、農家の実態を訴えた。県の女性相談会にとりくんでいるが、調理もできない女性もいて、栄養不足が深刻」と報告しました。
 秋田県の佐々木冷子さんは、漬物加工の衛生基準の改定で、いぶりがっこなど伝統的な農産加工にも設備投資が求められるようになり、廃業に追い込まれている実態を訴えました。
 最後に、「女性部の力で春の大運動を成功させよう」と誓いあい、閉会しました。

= 持ち寄り交流会も復活 =
ごちそうと歌と踊りで大盛会

ダンスを披露する福島県女性部の皆さん

 総会では、恒例の「持ち寄り交流会」も行われました。
 交流会では、牛肉のステーキ、カツオのたたき、チャーシューやハム・ソーセージのほか、いぶりがっこやイカニンジンなどの漬け物類、野菜・根菜料理、柿の葉ずしやヨモギ餅、カステラなどのスイーツ類と、農村の豊かなごちそうがズラリと並びました。
 出し物も、着物に着替えての歌謡ショー、フラダンスやタヌキ踊りなど抱腹絶倒の出し物が次々と披露され、会場は笑いの渦に包まれました。