第19回GMOフリーゾーン運動全国交流集会in愛媛 遺伝子操作作物・食品を止めよう(2025年03月24日 第1643号)
食べものを見つめ直す ~今、ここから、私たちから~
登録農地10万7744ヘクタール サポーターは3万人近くに

食の安全と地域を守る取り組みを熱く討論
遺伝子組み換え作物を栽培しない地域を広げるために「第19回GMOフリーゾーン運動全国交流集会」が3月1日、愛媛県今治市で開かれました。主催は、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン、OKシードプロジェクト、コープ自然派しこくなどでつくる実行委員会。
食べて社会変え 生きる希望もつ
第1部は映画「食べることは生きること~アリス・ウォータースのおいしい革命」の上映会が行われました。
第2部では、実行委員長の野島貴子さん(コープ自然派しこく)が「今回のテーマは、『食べもののことを考える、今、ここから、私たちから』。生きていくために必要な食べものは、生態系も豊かにし、社会を変える明るい可能性があります。今日はその希望を広げる始まりの日にしましょう」と開会あいさつしました。
パネルディスカッション「食べもののことを考える・えひめサミット」では、野島さんを司会に4人がパネリストを務めました。
キャンペーン代表の天笠啓祐さんは、農水省が愛媛県で温州ミカンなどかんきつ類へのゲノム編集技術の活用計画を進めていることを告発。消費者の間にゲノム編集技術についての認知度が低いのは、表示がないことが一つの原因になっていると批判し、「土や自然を生かした農業を進め、遺伝子組み換えやゲノム編集のない社会をつくろう」と提案しました。
海と山の資源の循環を大切に

愛媛から東京への開催に引き継がれました
西予市の地域協同組合「無茶々園」専務理事の大津清次さんは、イワシの肥料化、ミカンの堆肥化など海と山の資源を生かした循環を大事にし、地域資源を有効活用しながら、地元のものを地元で賄う地域社会の実現を提唱。「生産者と消費者、つくり手と買い手で支え合う関係を確立しながら、持続可能な地域をつくっていきたい」と述べました。
今治市議会議員の内山葉子さんは、人と人との関わりで情報を得ながら、自分たちでコミュニティーを形作る取り組みの重要性を指摘。「条例を制定する場合、署名の力が議員や職員を動かすことになります。学校給食に有機食材の割合を増やそうという署名が半月で3千人分以上集まり、住民がみんなで声を上げることが大事です」と訴えました。
西条市の「西条森のようちえん・おむすび」代表の皆尾明子さんは、「妊娠したときに自分が食べたものでおなかの赤ちゃんが育つんだと改めて思った。子どもが生まれてからも、子どもにとって体にいい食べものは何かを考えるようになった」と振り返りました。「自分も子どもも自然のなかでのびのびと体験しながら、地域を見つめ直し、一人でできないことをみんなでつながっていきながら、さまざまな活動をしていきたい」と語りました。
多様な活動で遺伝子操作反対
第3部は、2024年度のGMOフリーゾーンの現状と各団体による活動報告がありました。
キャンペーンの原英二さんが、フリーゾーン運動の全国の状況を報告。フリーゾーンに登録された農地は434ヘクタール増の10万7744ヘクタールになり、参加する個人サポーターが1511人増の2万9373人、事業者では22社増の203社になったことを紹介しました。「ゲノム編集トマトや魚類が国内で栽培・飼育され、流通する状況の下で、運動の意義は大きくなっており、都道府県でも遺伝子操作技術を使った育種が進むなか、地元の自治体とよく話し合い、問題点を伝えるなど運動をさらに広げよう」と訴えました。
あいコープみやぎ、コープ自然派、生活クラブ、なのはな生協、アイチョイス、グリーンコープ共同体の各団体が活動報告。GMナタネの自生調査や、小豆の種まきプロジェクト、学習やチラシ配布、ゲノム編集トマトの配布を拒否するよう求める自治体や学校への働きかけ、オーガニックや県産小麦を学校給食に使うことを求める運動などが紹介されました。
韓国、台湾、ヨーロッパからの運動の報告があり、愛媛から来年開催の東京への引き継ぎ式が行われました。
最後に、「本日、私たちは、豊かな自然と農と食文化を持ち、海の資源に恵まれた地である愛媛から、強い思いを込めて発信します。国内はもとより世界の人々とともに、遺伝子組み換え作物・ゲノム編集作物・魚を拒否し、GMOフリーゾーンを拡大していきます。GMOフリーゾーンの輪を広げることで、栽培・養殖させない、流通させない、食べないという取り組みを日本中に広げていくことで、地域の農と食文化を守り、食の安全と環境を守ります」とする大会宣言を確認して閉会しました。
2日目は、NPO法人愛媛有機農業研究会の安井孝さんによる学習会「『食と農のまちづくり条例』を持つ、今治市のこれまでの歩みと今」が行われたほか、伊方方面へのオプショナルツアーも実施されました。