アイコン 新聞「農民」

新基本計画で農水省に要請 米・畜産危機打開求める個人要望書を提出 農民連とふるさとネット(2025年03月31日 第1644号)

 農民連と農民連ふるさとネットワークは3月18日、全国から寄せられた「このままでは米を作り続けられません・政府が米価を下支えし、需給に責任を持つ政策を要求します」「このままでは日本から酪農・畜産が消えてしまう・危機を打開する緊急対策を求めます」の個人要望書を農水省に提出しました。米212通、畜産・酪農25通を手渡しました。

担い手対策と自給率目標を

要請書を手渡す岡崎衆史事務局次長(右)

 次に、農水省に対して、次期「食料・農業・農村基本計画」への要請を行いました。
 参加者は、(1)「食料自給率を向上させる目標」を数値目標で明記し、カロリー自給率目標を50%に引き上げること、(2)生産費をつぐなう価格保障の実現とともに、EU(欧州連合)やスイス並みに食料供給保障と農地・環境保全、農業所得を支える直接支払制度を明記し実施すること、(3)飼料用米と多様な転作作物への支援を拡充し、食料の安定供給の重要な基盤としての水田面積の維持を明記すること、(4)生活困窮者などへの食料支援を制度化し創設すること、(5)多様な担い手の確保とともに基幹的農業従事者、農業就業者数の数値目標を明記すること--を求めました。
 農民連の長谷川敏郎会長は、食料自給率の計算式に新たな「摂取熱量ベース」が出されたことについて批判。笹渡義夫副会長は、農業従事者の確保について計画案では49歳以下の担い手を「維持」するとしていることに対して、「農水省自身が2040年頃に30万人まで減ると認めているのに、なぜ現状維持なのか。農業は青年・壮年・老年の3世代が協力して技術を継承するなどして、持続可能になる。その核となる家族農業を守る、新規就農者を増やすことに真剣に向き合わないのは大問題だ」と厳しく指摘しました。
 オンラインで参加した滋賀県農民連の中井良久事務局長は「農水省はどこを向いて農政をやっているのか疑問だ」と述べました。
 農民連とふるさとネットは、「米不足と価格高騰の解消めざし、日本の米生産を守り、国が需給・価格に責任を持つ米政策への転換を求める緊急要請書」を手渡しました。