自給率向上の姿勢みられず 改定基本法にもとづく 「食料・農業・農村基本計画」が閣議決定 食と農の危機打開求める運動さらに(2025年04月21日 第1647号)
政府は4月11日、改定「食料・農業・農村基本法」にもとづく「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定しました。
本来は、年度内(3月末まで)に決定される予定でしたが、世論の力に4月に入っても決定できない事態に追い込まれていました。
気候変動や各地の紛争などで食料の確保が大問題になるなか、今回の基本計画策定に最も求められていたのは、食料自給率向上目標を計画に明記し、カロリー自給率を抜本的に引き上げることでした。
しかし、政府が示した自給率向上目標は、現在の38%を、一度も達成したことがない従来の45%に据え置き、自給率を向上させる姿勢がまったくみられません。
同時に今回新たに「摂取カロリーベース」を導入し、あたかも自給率が53%になるかのような幻想を持たせています。
米トランプ政権が相互関税を打ち出したなかで、自給率向上に背を向けたまま、農林水産物の輸出額を2030年までに5兆円とし、米は23年の9倍の約40万トンに拡大する「輸出戦略」を打ち出しています。
米不足と価格高騰を野放しにしたまま、米輸出拡大に狂奔するのは許されません。
農業の担い手対策で「基本計画」に問われていたのは、急速な農家の減少をいかに食い止め、新規就農者の確保・育成、半農半10や定年帰農など、多様な担い手を、国家的プロジェクトとしていかに推進するかでした。
しかし「基本計画」にそうした視点は微塵(みじん)もなく、掲げた目標は、若い担い手を増やすどころか、49歳以下の担い手を「現在の水準(4・8万経営体、23年)を維持する」というだけで具体策は皆無です。
農地では、国内の需要を賄うために必要な面積の3分の1程度しかない状況だとする一方、農地面積は24年の427万ヘクタールから、30年には412万ヘクタールへとさらに減少する目標になっています。
自給率向上、米危機打開、農業・農村を再生するために運動をさらに広げ、こんなでたらめな基本計画を作った与党を夏の参議院選挙で過半数割れに追い込みましょう。