インスタが農業をもっとおもしろくする! 学生らを招き農業体験 農業って楽しい 思いを伝える場に(2025年05月19日 第1650号)
農業の魅力をインスタで発信 川並正樹さん(48)
千葉・山武農民組合 手記

川並さんのインスタページはこちらから
私は、千葉県山武市で2019年1月に有機農業で就農しました。冬瓜、大根、にんじん、サニーレタスを始めとした年間15品目程度の有機野菜を約2・5ヘクタールの畑で栽培しています。
「農業は人を幸せにするもの。収穫した野菜で食べる人の笑顔が見られ、交流も生まれる」と常に考えていました。ただ、そうした思いを実際に伝える場も伝える努力もできずにいました。
2023年12月末、久しぶりに実家に戻り、家族で食事をしていたときのこと。妹から「せっかくお兄ちゃんは農業をやっているのだからインスタグラムで発信してみたら」と提案を受けました。そもそもインスタと言われても自分とは違う世界と思っていました。そこでまず農業関係のインスタ投稿を見たところ、「これ、もしかしたらおもしろいものかもしれない」と思いました。
※インスタグラム(略称:インスタ)とは
写真や動画を共有するソーシャルネットサービス(SNS)の1つ。世界で10億人を超えるユーザーがいるとされる。
学生らの反応に 常に笑顔絶えず

学生たちが大根を収穫
今年4月19日、インスタでつながった大学生と社会人数年目の方々など合計11人の方が、私が営む「おひさま農園」に援農で来てくれました。始まりは、私がインスタ投稿している中でたまたま見つけた小さな投稿です。「大学生に対して、食や農業に関する接点をもっと増やしたい! 協力させてくださる農家さんいますか?」といった投稿に私が反応したことから話が始まりました。
その投稿を見たとき「これだ! これこそ私が今やっている農業についてどういった思いで就農したのか、農業を取り巻く現状、常日頃考えていることなどを直接消費者である人たちに伝える絶好の機会であり、また農業の楽しさ・魅力を一緒に収穫したりする中で感じる素晴らしい機会になる」と感じました。
当日は、晴天でまさに農業日和の1日でした。まず「おひさま農園」の簡単な紹介に始まり、今栽培しているサニーレタスの収穫がどうなっているかやズッキーニの花、小さい実は生で食べられることを説明して試食もしました。
有機の手が全く入っていない春にんじんが草に覆われてしまっている現状など包み隠さず見てもらいました。農家にとっては、慣れてしまって全く感動がないことも初めて携わる人には、非常に新鮮でわくわくする経験であったみたいです。
いろいろ説明しながら「ズッキーニの花が食べられるのですか」と、なんか罰ゲームのような感じでおずおずと食べた学生の顔が驚きと興奮、“おいしい!!”という反応についつい笑ってしまうなど常に笑顔が絶えない体験となりました。
その後ピーマンの定植を手伝ってもらい、500株以上をあっという間に植えてくれました。最後に参加者全員がサニーレタス正品の収穫と袋詰め、規格外大根の収穫をしてたくさんの野菜を持ち帰ってくれました。
農作業を通じてつながり深める

収穫を終えて記念撮影。前列右が川並さん
終始皆さんが笑顔で元気いっぱいな姿を見ながら、「ああ、やはり農業って楽しい。農業ってすごい魅力ある仕事だよな」と改めて感じることができました。
今回インスタを通じて来てくれた方々とは連絡を密にとりながら、またさまざまな形で今後援農としてきてくれることになっています。
今回連絡が取れたのが学生であったため学生の参加者が多かったのですが、学生でなくとも農業に関心を持っている、でも農家に知り合いはいない、そうした潜在的に顧客にもなりうる消費者の方々が農家とのつながりを多く求めています。
そうした方々とスムーズにつながることができるのがインスタなどSNSの魅力であると考えます。今まで伝えてこられなかった農業の魅力を、今後直接インスタを通じて伝えていくのもおもしろいと思います。