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原発推進から方針転換させよう 原発なくす会イレブン行動 “あの時の恐怖の風化怖い”(2025年05月26日 第1651号)

 「原発をなくす全国連絡会」(原発なくす会)は毎月行っているイレブン行動を5月12日、東京都の新宿駅前で開催し、「原発ゼロと再生可能エネルギーと省エネルギーを中心としたエネルギー政策への転換」を訴えました。(写真)
 全日本民主医療機関連合会の木下興事務局次長は、原子力規制委員会が先日再稼働を認める方針を決定した北海道・泊原発について言及。規制委員会の山中伸介委員長が会見で「審査が通ったことと安全の担保は別の問題。北海道電力には徹底した安全対策を求める」としたことについて木下さんは「そもそも、地震大国の日本で“原発立地の安全”など担保できない」と批判。「国はまた“想定外”という言葉で責任逃れをするのか」と訴えました。
 全国商工団体連合会の聖生和音さんは「率直に言って日本のエネルギー政策は遅れている」と発言。理由として、発電にかかる費用が高く、管理・運営上のリスクと不確実性がとても高い原子力発電にいまだに依存していると主張。さらに斜陽産業であるこの原発産業に多額の税金や電気代を投入し、「国が延命政策を続けている」と批判しました。

ふるさとに帰還した人にケアを

 日本共産党参院議員で福島出身の岩渕友さんも応援演説と署名活動に参加。岩渕議員は「原発事故による避難生活と心的ストレスを研究している大学教授から話を聞く機会があった」と発言。その中で、避難先から地元地域に戻って生活をしている人たちの精神的ストレスのほうが、避難生活を続けている人たちよりも大きいことが研究で明らかになったと紹介しました。「ふるさとに戻っても周囲に医療機関や買い物場所がなく、地域のコミュニティーも形成されていないことが要因として大きいと思う」として、「避難指示を解除すれば原発事故被害は終息した」と言わんばかりにさまざまな支援を打ち切ってきた政府を批判。「ふるさとに戻った人々の実態を国がちゃんと調査し、政策として対応するべき、と私も国会で繰り返し訴えてきた」と述べました。
 「原発なくす会」が取り組む「原発ゼロと再生可能エネルギーへの転換を求める請願署名」には40分間で10人が署名しました。署名に応じた60代の夫婦は、「14年前に肌で感じた恐怖が風化してしまうことが何より怖い」と語りました。