米危機打開を産直運動で 食と農守る運動起こそう 福岡 産直&米学習会 ふるさとネット・湯川さん講師に(2025年06月02日 第1652号)

会場いっぱいの学習会
福岡県農民連は毎年4月頃の播(は)種前に新日本婦人の会と生産者の産直協議会を開催しています。消費者の要望や生産者の現状などの意見交換を行い、価格の設定や産直ボックスの充実に生かしています。
今年に入って米不足で価格が暴騰し、5キロあたり4000円超の“ありえへん値段”が普通になり、作り手側として身を切られる思いがしています。
また、集荷競争の激化で産直米が集まらず、しばらく産直米は休みという事態になるなど、大きな影響が出ています。
「30年以上取り組んでいる産直運動が続けられるか?」と、産直運動を通してこの米騒動の本質を捉え、農業問題を考えようと、5月9日に福岡市で、農民連ふるさとネットワーク事務局長の湯川喜朗氏を講師に、「産直協議会&コメ問題学習会」を開催しました。当日は新婦人45人、生産者ら20人の65人が参加しました。

講演する湯川さん
湯川さんは、25ページにわたる資料を使ってお話ししました。
「今年は米危機がもっと深刻になる。打開の道を産直で切り開くために学習を深め生産者と消費者のつながりを強化しよう。『令和の米騒動』を招いた自民党政治を終わらせ、減産から増産への政策転換めざして食と農を守る国民の運動を地域から起こしていこう」と訴えました。
参加者から「政府の失策により作られた米不足と価格の高騰に怒り。これでは農家は米を作り続けられない」「政府の責任を明確にし、生産者が安心し作り続けられる仕組みを作ることが必要。生産者の減少は深刻」「価格保障など生産者を守る政策の転換をできないなら政権交代しかない」などの感想が寄せられました。
(福岡県農民連事務局長 藤嶋嘉子)
産直学習会に参加して
糸島農民組合 鬼木恵美子さん
人とつながり語り合い運動広げたい
地域で行事の調整に四苦八苦の中参加した「学習会」は資料が足りないほど会場はいっぱいだった。「令和の米騒動」でみんなの関心の深さがうかがえる。湯川さんのいろいろな角度からの米問題の資料とお話に、ついてゆくのが大変ながら「もっとおいしいお米を作ろう!」と新たな決意。
今の価格が妥当かどうかは別として今までがあまりにも安すぎたと私は思う。経費と買い値は誰が計算しても赤字、時給10円、茶わん1杯30円では作る元気も消えそうだ。
“今は昔の鏡”とい言うが米をめぐる問題は過去にもあった。「令和の米騒動」の原因がこれまでの農業政策にあることは多くの人々が認めるところだと思う。毎日食べるお米だから当たり前すぎて米に対する大切さを忘れていたのかもしれない。
「米価高騰」ばかりの声も多いが品質の悪さも問題。昨年初めての「3等米」にガッカリで「うちの米は等外」と近所のおじさん。「今年は1、2等が少なかった」とJA。慰めあっている場合ではない。今年はもっと深刻な状況になるかもしれない、自然が相手の農業、何が起こるかわからない。
数十年の昔から、文化・環境を守り続けてきた水田。その悲痛と叫びと叱咤(しった)をしっかりと受け止め、多くの人とつながり学び、語り合う中で食と農を守り続ける運動を広げていきたい。