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本の紹介 フードテックがつくりだす 健康被害と食料危機 食品添加物よりはるかにこわい 『ゲノム編集食品』(2025年06月02日 第1652号)

天笠啓祐著

 9割の日本人が知らないうちに、いつの間にか市場に出回っているゲノム編集食品。政府は「遺伝子組み換えと違って、ゲノム編集は通常の品種改良と変わらない」としています。
 そのため食品表示もなく、食品としての届け出も任意で知らないうちに売られているという状況が起きているのです。
 しかし、市場化されているのは世界中で日本だけ。ゲノム編集は遺伝子を人工的に壊す技術のため、「対象外の遺伝子を壊す危険性が高い」「壊した遺伝子の周辺が修復されるとき、異常たんぱく質ができる可能性がある」などさまざまなリスクが指摘されています。
 それらはすべて大きな健康被害を起こす可能性があります。そのため世界的には市場化の様子見をしている状況下、日本だけがほとんど安全検査も行われず食品表示もないまま市場化に踏み切ったのです。
 本書では、「政府が意図的にゲノム編集食品の情報を絞っている理由」「ゲノム編集食品が通常の品種改良とは全く違い、遺伝子組み換え食品と同様であること」「ゲノム編集食品について世界で指摘されている健康被害のリスク」「ゲノム編集食品も含めたフードテックがもたらす健康被害と環境破壊」「遺伝子組み換え食品同様の食品表示と規制を求めるための社会の動き」を紹介しています。
 ゲノム編集食品を取り巻く状況は1990年代に遺伝子組み換え食品が出てきた時とよく似ています。その時も政府は「従来の品種と変わらず安全だ」と主張しましたが、その後、さまざまな健康被害の実態がわかってきたのはご存じの通りです。
 本書では改めてここ30年でわかってきた、数多くの遺伝子組み換え食品の害についての研究データも紹介しています。
 直ちに害はないと政府はよく言いますが、登場後30年たち、明らかに害が出ることがわかってきています。
 遺伝子操作も含めたフードテック、食の工業製品化がいかに危険なことなのか、真の食料危機を引き起こす要因となりうるのかも含めて、今、実験台とされている日本人が知っておくべき内容です。

 定価 1760円(税込み)
 出版 ユサブル
 判型 四六判 238ページ
 注文は、各インターネット書店で。