消費税 不平等税制はNO! 選挙で減税実現しよう(2025年06月02日 第1652号)
「肥料・資材・機械…何を買うにも10%を取られる消費税。これがなければ少しは農業経営も楽なのに」「去年はせっかく米価が上がったのに、今年の確定申告で消費税を税務署にがっぽり納めなければならなかった」--。消費税は農家の経営とくらしに重くのしかかっています。夏の参議院選挙でも消費税が一大争点となっています。多くの政党から消費税減税の主張がされるなど、選挙を大きく左右する消費税。どんな税金なのか、減税するとどうなるのか、考えていきます。
消費税が財源? 社会保障は悪化

表 消費税は社会保障の財源といいながら負担は増える一方
消費税は1989年に税率3%で導入され、3度の増税を経て、現行の8%と10%の複数税率となっています。
政府・与党は「消費税は社会保障の財源だから必要だ」と、ことあるごとに主張していますが本当にそうでしょうか。
消費税導入以前の88年度と24年度の社会保障の変化を示したのが表です。消費税導入と3度の増税で社会保障はよくなるどころか削減の一途をたどっています。
そもそも消費税は輸出大企業に巨額の還付金が発生するため、輸出大企業・財界の要望によって導入されました。その際に使われた口実は「直間比率の是正」。所得税や法人税などの直接税の比率を下げて、消費税など間接税の比率を増やすというものでした。「社会保障のため」は後付けのゴマカシにすぎません。
消費税 食料品0%より、一律5%に減税を
弱者に重い負担 消費税は不公平

「消費税は国民に広く平等な負担を求めるもの」との主張もよくなされます。実態はどうでしょうか。
図は所得層ごとの税の負担率を示しています。税金の役目として所得の多い人から多く徴収し、所得の少ない人に社会保障で返す「所得の再分配」があります。すなわち税負担は低所得者ほど少なくなるべきです。
しかし図を見ると年収800万円以下がほぼ同じ負担率となり、所得の再分配が機能不全を起こしている税制となっています。その原因となっているのが消費税です。
消費税は所得の少ない人ほど負担率が高くなっており逆進性の強い不公平な税制です。
さらに消費税は、交付金や補助金は不課税扱いで還付を受けられる農民と還付に無縁な農民に分かれるなど、農民に分断を持ち込み、不公平感を広げています。
23年10月のインボイス(適格請求書)制度導入でさらに不公平さが広がりました。売り上げ1000万円以下の事業者は免税事業者となり消費税を納める義務はありません。これは小規模事業者の税負担・事務負担を軽減するためのもので、正当な権利です。
消費税額は売り上げにかかる消費税額から仕入れにかかる消費税額を差し引いて計算されます。この仕入れ税額を差し引くときに、インボイス対応の領収書・請求書が必要になりました。そして、免税事業者は「納めるべき消費税がないから価格に消費税は含まれない」としてインボイスが発行できません。
そのためインボイスが必要な取引先から、インボイスの登録や値引きを要求され、断れば取引から排除されてしまう事例が発生しています。そのため、本来支払う必要のない消費税を納めてでもインボイスを発行することを余儀なくされている免税事業者も多いです。
こんな制度はすぐに廃止すべきです。
消費税に代わる財源は十分ある
では、消費税減税の財源はどこにあるのか。
現在は、年間所得が1億円以上で所得税負担率が下がり、法人税も連結決算や研究開発減税などにより資本金1億円以上で法人税の負担率が下がるなど、富裕層・大企業を優遇する税制となっています。
「不公平な税制を正す会」の試算では、こうした優遇を是正し、所得税・住民税と相続税の応能負担の強化や法人税の累進性強化を行えば24年度の予算で50兆円以上の財源が確保できます。
消費税に代わる財源は十分にあります。
6党・会派57人 署名の紹介議員
経済対策として食料品の消費税率0%を求める声が出ています。
農家の多くを占める免税農家にとっては、仕入れはほとんど減税対象外。売り上げももともと消費税を含まないという扱いをされているので、値下げも必要なし。したがって日々の食料品の買い物負担が減る効果はありますが、経営にはほとんど影響しません。
本則課税をしている課税農家は輸出企業と同様に還付となるケースも出そうですが、簡易課税農家はメリットがありません。
複数税率を複雑化し、インボイスの正当化、農家や業種間で減税の有無が分かれ、分断を招きかねない食料品0%より、一律5%への減税の方が減税効果も高く効果的です。(国民一人当たり、食料品0%で約4・1万円、一律5%減税で約12万円の減税に)
農民連は、緊急に消費税5%への減税とインボイスの廃止を求めます。
国会では、この間の取り組みを通じ、6党・会派の57人が署名の紹介議員になると回答しています(4月28日現在)。「消費税減税」を参議院選挙の争点に押し上げ、減税を実現するまであと一歩です。
消費税減税問題をみんなで学習し、「米と消費税」で農民・国民の中に打って出ましょう。