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5キロ2000円の「小泉米」に農家は不安 打つ手はすべて財界の要求だらけ!(2025年07月14日 第1658号)

農業と食料を大企業のもうけに差し出す石破・小泉農政に審判を

 2024年夏からの米価急騰に何も対策をとらなかった自公政権。小泉農水相の「5キロ2000円」の備蓄米放出の結果、政府備蓄米は事実上空っぽです。小泉農水相は米市場を「ジャブジャブ」にすると発言し、MA(ミニマムアクセス)米の前倒し入札も実施しました。これらの発言や行動に農村では大きな不安が漂っています。彼らは何をねらっているのでしょうか。

 

財界とベッタリ、企業参入・大規模・スマート農業推進

小泉農水相(左)と経団連の筒井義信会長=6月17日(時事)

 6月17日、小泉農水相は10年ぶりに日本経済団体連合会(経団連)と懇談し、5年間の構造改革集中期間では「経団連との連携が非常に重要」と持ち上げ、今後、(1)企業による農業参入促進の加速化に向けた生産基盤の強化、(2)デジタル技術を活用したフードバリューチェーン全体のデータ連携・利活用促進、(3)スマート農機の新技術の開発、利用促進や高速通信環境の整備、(4)海外市場の開拓など輸出強化、国際的サプライチェーンの強化で合意しました。中身は経団連の「農業の成長産業化に向けた提言」(23年5月)そのままです。
 直前の記者会見で、小泉農水相は、「今までのプレーヤーだけで今後の将来を考えるのは、非現実的だ」などと決めつけ、中小の家族農業切り捨ての本音を鮮明にしました。
 仮に、企業参入とスマート農業、大規模化がうまくいったとしても、農村からさらに人がいなくなれば、学校や病院、スーパーも成り立たなくなり、農村は崩壊します。
 これまでユニクロ、吉野家、ニチレイ、東芝、大戸屋、オリックス、HIS、カゴメ、オムロンなど、名だたる企業が農業に参入して失敗しています。
 農業は自然相手であり、天候に左右される仕事です。なんでも企業に任せればうまくいくとは限りません。だからこそ、家族農業が世界で見直され、各国が支援を強化しています。小泉農水相のめざす方向は企業参入の投資リスクを国民の税金で肩代わりするだけで自給率の向上にも農業再生にも役立ちません。

 

基本法改定で、歯止めなく農産物を輸入し利益拡大ねらう商社

坂本農水相(中央)=当時=に日本貿易会が要望=2024年6月17日(日本貿易会ホームページから)

 この背景には昨年の食料・農業・農村基本法改定があります。改定の核心は食料自給率向上を投げ捨て、これまで国内農業と輸入、備蓄を「適切に組み合わせ」て食料安全保障を確保するという立場から、「安定的な輸入」へと、農産物輸入の拡大を明記したことです。
 改定法成立直後、当時の坂本農水相は日本貿易会と「国内生産では需要を満たすことのできない主要穀物等の調達」を協議しました(参加は伊藤忠商事、住友商事、双日、豊田通商、丸紅、三井物産、三菱商事の7社)。日本貿易会の要望書は輸入相手国の輸出インフラ整備の支援だけでなく、国内の老朽化した港湾・サイロ・コンベアなど輸入インフラの大型化・効率化・省力化への改修に公的支援を求めています。
 トランプ関税の押し付けには農産物を差し出して輸入を拡大し、国内農業と国民の食料は家族農業を切り捨てて大企業のもうけに差し出す、国民の命に無責任―これが石破・小泉農政の本質です。参議院選挙で自公を過半数割れに追い込んで農政を抜本的に変えるしかありません。