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余裕をもった生産・備蓄を 東北農団連が農政局要請(2025年09月15日 第1666号)

 東北農団連は8月29日、仙台市の東北農政局を訪れ、要請を行いました(写真)。東北6県から14人が参加しました。今回は、米問題を中心に12項目の要請を提出し、回答を得ました。

米の価格と需給の安定に責任を

 最初に、東北農団連の小林茂樹会長(山形県農民連会長)が東北農政局の担当者に要請書を手渡しました。その後、小林会長があいさつし、「米の概算金は高くなっているが、カンフル剤にしかならない。今回の備蓄米放出のやり方は禁じ手であり、農家に不安をもたらしている」と指摘。国は今回、米価の高騰に介入したのだから、安値のときも介入すべきだと主張しました。
 東北農政局企画調整室長のあいさつの後、東北農政局から回答がありました。
 米価の高騰については、米の需給見通しの誤りを認め、その検証も行っていることを明らかにしました。米の増産にかじを切るとは言ったものの「需要に応じた生産」にこだわり、余裕を持った生産・備蓄には程遠い姿勢でした。
 水田活用直接支払交付金見直しの水張り要件を撤廃したことについては、撤廃の要件が現場に届いていなければおわびしなければならないと発言しました。
 畜産関連では、「飼料の高騰が継続している状況では、畜種ごとに経営安定対策、金融支援などの対策がある。配合飼料価格安定対策では直近で民間の補てん財源が枯渇し借り入れを行った経過があったので、基金の蓄えを拡大する」と述べました。
 中山間地直接支払制度については、集落の協定参加者の減少、活動困難な協定の増加に伴い、複数の協定間での連携、活動の維持・ネットワーク化が困難になっている現状が述べられました。

山間地に予算を余裕ある生産に

 その後、農団連が再質問・意見交換を行いました。
 米問題では、「生産の目安は増えていない。増やしたいなら、中山間地に予算を付けることが必要だ」と発言しました。
 さらに、収入保険の加入条件の「青色申告に限る」を外すことが加入者を大幅に増やすことになると農政局に迫りました。また、スマート農業・集約化・規模拡大でコスト削減することは大規模農家には言えるが、中小農家には向かないと訴えました。
 「『需要に応じた生産』という言い方はやめてほしい。余裕を持った生産によって融通が利くのだから。水田に戻す工事は10アールあたり5万円、輸出には10アールあたり4万円かかる。財政審議会は輸出の4万円には文句を言わないが、水田工事の5万円には文句を言う。これはおかしい」と指摘しました。
 また、秋田県が「あきたこまちR」を推奨品種とし従来の「あきたこまち」は、推奨品種から外すとしたことは問題だと指摘しました。