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全国食健連第36回総会 初めて埼玉県で開催 消費者・生産者・労働者が連帯して 地域から幅広い共同運動を今こそ(2025年09月15日 第1666号)

活発な活動報告が相次ぎました

 全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連合会)第36回総会が8月30日に開催され、オンラインを含め70人余が参加しました。
 この間、埼玉県では地域食健連が相次いで結成され、その経験を学びあおうと、今年の総会は初めて東京を離れて埼玉県伊奈町で開催されました。

自給率向上へ地域から多彩に

 全国食健連事務局長の土井直樹さん(全労連常任幹事)が議案を報告しました。土井さんは、「今の米不足は、生産者には減産を押し付ける一方、価格は『市場まかせ』にするという、無責任な農政が原因」と指摘。国民の食料・農業への関心の高まりに応えて、各県・各地域での学習会やグリーンウエーブ行動など地域食健連のとりくみが多彩に展開されていること、全国食健連としても昨年から3回にわたる農水省要請を行ったほか、5万人分を超える『自給率向上署名』を提出したこと、などを紹介しました。
 そして「食健連運動の要は地域でのとりくみ。消費者・労働者・生産者などさまざまな立場の仲間が集うからこそ、幅広い運動が展開できる。今後もそれぞれの要求の理解を深め合い、全国をつないで食料自給率向上と持続可能な地域の構築へ、運動を広げていこう」と呼びかけました。
 特別報告として、長崎県グリーンウエーブ実行委員会の岩永功さん(長崎農協労組委員長)と、生協労連(全国生協労働組合連合会)の渡邉一博さんが報告しました。
 岩永さんは、離島が多く会議などが困難ななかで、年間計画をたて、県庁や市町村、県農協中央会や各農協などを訪問してグリーンウエーブ行動に取り組んでいることを発言。毎年2月にはみんなの関心や話題性を取り入れた学習会を行い、行動の力になっていることを報告しました。「課題はいろいろあるが、地域の基幹産業である農業を守るため、各団体で協力して今後もがんばっていきたい」と語りました。

地域や各分野の要求に応えて

 討論では、各地の多彩な活動を交流しました。
 生協労組の渡邉さんは、食料や農産品を扱う小売りの現場の労働組合として、もっと食料・農業について学習していこうと、機関紙でお米情勢を中心に農業政策を特集したり、学校給食に有機米を取り入れた千葉県いすみ市で視察・交流会を開催し、2日目には農政の学習会も行ったことを報告。参加者の一人が中心になって埼玉でも農業や環境をテーマにした学習活動に発展していることを語り、「各地域でも学べる企画を支援していきたい」と述べました。
 埼玉食健連の秋葉一雄さんは、県内の東西南北すべてで地域食健連が結成され、会員も増えて、活発な活動が行われている様子を報告。「学校給食について無償化だけでなく、地場産農産物の活用も重視したとりくみを行っている。市町村への働きかけを行い、昨年6月には熊谷市議会で食料自給率向上を求める意見書が採択された」と発言しました。
 大阪食農府民会議の江尻彰さんからは、食料・農業・農村基本計画や都市農業の学習会、ソーラーシェアリングやアグロエコロジーを実践する農家への現地見学会の実施などが報告されました。
 また、全農協労連の星野慧さんは、「農産物価格の適正価格と安定供給を考えるうえで、生産者・消費者だけでなく流通や生協など小売りの労働者といった関連労働者の観点も重要ではないか。私たちの運動のウイングを広げるチャンスでもある」と、提起しました。
 埼玉県高校教職員組合栄養職員部の秋葉久子さんは、「学校給食に地場産農産物を活用していくには、正規雇用の栄養士が献立をつくり、直営の自校方式で、地域に納入してくれる農家がいることが重要。いま多くの学校給食がセンター給食で、民間委託や市町村での統一献立になっている。新任の栄養士が献立を作る機会もなくなっている」と、学校給食の実態に警鐘を鳴らしました。


地元、埼玉の伝統食や農産物で「食の交流会」
テーブルいっぱいのお料理に舌鼓

机にズラリと並んだ郷土料理

 会議終了後には食の交流会(おひまち)が行われ、埼玉食健連のみなさんが多彩な手づくりの郷土料理を提供。ちらしずし、冷や汁、おからシュウマイ、芋がらの煮物、揚げナスのおひたし、みそポテト、梨などがテーブルいっぱいに並びました。おおいに交流し、おなかも満たして新たな活動のエネルギーとなりました。