アイコン 新聞「農民」

旬の味(2025年12月15日 第1679号)

 農業をしていると、ふに落ちないことが一つある。それは、「農作物の価値の低さ」だ。最近の田舎暮らしのテレビ番組では、「野菜は近所の人からもらうので0円」というものをよく見る▼私自身も、売り物にならない野菜を「捨てるくらいなら」と人にあげたりするが、その野菜の価値が0円だとは思わない。本音を言えば買ってもらいたい。それをテレビでは「野菜はタダでもらえるもの」ということを前面に出していることに、大変悲しい気持ちになる▼ちょっとでも虫が食べた跡があったり、形が悪かったり、大きさが小さかったりしただけで売り物としては敬遠されてしまうのだ。昔の人が「虫が一番おいしい野菜を知っている」とよく言っていた記憶があるが、その考えもお店で並ぶ綺麗な野菜を前にしては消えてしまう▼自然環境に悩まされ、動物被害とも毎日向き合い、生き物相手の仕事なのでまとまった休みなど満足に取れないのが農業である。もう少しありがたみを持ってほしいと願うのは、わがままだろうか。(1)