旬の味(2026年05月04・11日 第1698号)
「戦争に負けてよかったね。本当にそう思う」と安江玲子さんは言う。当時17歳、敗戦を満州で迎えた▼岐阜県旧黒川村から満州に渡った黒川開拓団。皆が生きて日本に帰るために、侵攻してきたソ連兵へ、現地住民の襲撃からの警護の見返りに「性接待」の相手として差し出された15人の未婚女性の一人▼映画「黒川の女たち」を見る機会を得た。戦時下では必ず、女の性が蹂躙される。ウクライナ、ガザ、イランで、今この時も例外なく。先の大戦で勝っていたら、日本は戦争をし続ける国になっていたかもしれない。冒頭の玲子さんの言葉は、同じ悲しみや苦しみを誰にも体験してほしくないという切なる思い▼続けて「9条は守ってほしい」と。9条は女性の尊厳を守る条文でもあるのだ、と気づかされた。女性たちの勇気ある告白と、その事実を認め、史実を刻み、謝罪した戦後世代を描いた強烈な作品だった。私は戦争反対と叫び続けようと決めた。見上げる空に戦闘機はいらない。さあ、梨の摘果作業が始まる。(羊)

