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緊迫 国会審議 農業基本法改定案 自給率向上放棄許すな 「号外」普及し署名積み上げ 反対世論大きく アメリカ・EUと日本の農業予算 広がる欧米との格差 アメリカ・EUの農業予算 7.5~4.7倍、日本は0.76倍(24%減)(2024年04月22日 第1598号)

 「食料・農業・農村基本法改定案」について審議している衆院農林水産委員会は、4月15日に北海道と鹿児島で地方公聴会を行い、19日までの衆議院での採決をねらっています。一方で、野党も修正案を提出するなど、強行採決に対抗しています。(15日現在)

 この間の論戦で、農水相は「自給率が確実に上がると言い切るのは難しい」「今後の農業者の減少は避けられない」、農家の所得増大は「現行法には規定しておらず、今後も予定はない」など逃げの答弁を繰り返しています。
 新聞「農民」号外を大量に活用にしながら、一刻も早く「自給率向上を政府の義務とする」署名を広げましょう。自治体請願にも取り組みましょう。

 アメリカ・EU(欧州連合)の農業予算が40年間で7・5~4・68倍になったのに対し、日本は減り続けて0・76倍(24%減)にすぎないことがわかりました。日本共産党の要求に応じて農水省が示した「主要国の農業予算の推移」で明らかになったもの。

 とくにアメリカの農業予算は1980年の348億㌦から21年に2611億㌦(28・6兆円)に7・5倍増。3・1兆円から2・3兆円に減った日本の農業予算の12倍。EUの農業予算も4・7倍増の557億ユーロ(6・9兆円)で日本の3倍です(為替レートは21年、1㌦=109・75円、1ユーロ124・3円)。

 21年の農家1戸当たり農業予算は、日本135万円に対し、アメリカは1424万円で10倍以上。フランスも480万円で日本の3・6倍です。

 これだけ格差が広がった要因は何でしょうか。アメリカの場合、20年にコロナ対策で6・2兆円の大型補正予算を組み、農家への直接支払いや、食品買い上げによって低所得者・子ども向け食料支援を大幅に強化したことがあげられます。

 これに対し、日本の農業関係補正予算はわずか0・5兆円。米価暴落対策のための政府による米の買い入れも食料支援も全く貧弱なままでした。規模も対策の内容も、日米の大きな違いは明瞭です。

 米国議会予算局によると「24年から33年までの10年間の農業予算額の合計は約1兆5000億㌦に達し、過去最高の支出規模となる」見込みです。

 10年間で1兆5000億㌦=約200兆円で、1年間20兆円。日本の農業予算の10倍です(農水省「主要国の農業情報調査分析報告書」23年3月)。

 EUもコロナ対策として、生産者1戸当たりの最大補助額を1500万円とする「緊急パッケージ」を実施し、農畜産物の公的買い入れや市場隔離支援を行いました。また、EUは青年就農支援をさらに本格化し、23~27年は予算を3倍に増やしています。

 「いたずらに財政負担に依存した助成措置等により自給率の向上をはかる」のをやめろ、大軍拡のために農業予算を削れという大軍拡優先の財政制度審議会路線につき従って農業予算をさらに削る方向では、格差はますます広がることは必至です。

 食料自給率向上も価格・所得補償、青年就農支援も放棄する食料・農業・農村基本法改定案を廃案にし、食と農の再生に役立つ予算に抜本的に拡充することが求められています。