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本の紹介 小倉正行著(学習の友社) 知っておきたい日本の農業・食料 -過去・現在・未来そして農業の基本方向の転換を- 農基法改定案の背景を理解するのに役立つ(2024年04月29日 第1599号)

 国会議員秘書を長年務め、現在『食べもの通信』の編集世話人をしている小倉正行さんならではの1冊です。副題にあるとおり、現在焦点になっている農業基本法改定案の背景を理解するうえで、とても役立ちます。文章もわかりやすい。
 第1章ではアメリカの食料戦略や農産物輸入自由化政策が日本の農と食をどのように変えてきたか、旧農業基本法以来の歴史を詳しくのべています。
 第2章「日本農業の現在」は、農地や担い手の現状をスケッチするとともに、農業基本法改定案では全く度外視されている自給的農家や半農半Xなどの多様な担い手を分析しており、この本の大きな特徴です。
 第3章では米や小麦・大豆、野菜、果物、畜産の生産の現状を詳細な資料を使って浮き彫りにしています。とくに米政策の変遷や最悪の発がん物質・アフラトキシンに汚染されている輸入飼料の告発は著者ならではの分析です。
 これからの日本の農と食の課題を述べた第4章は、気候危機の脅威を詳しく分析し、日本の異常に低い食料自給率が国民生存の危機に直結していることを強調しています。スイスやイギリスが自給率を向上させている教訓に学び、直接所得補償の本格的導入を訴えるとともに、ご飯を主食に、二毛作で麦や大豆の増産をなど、緊急に取り組むべき課題を提案しています。
 農業基本法改定案に対する理解を深め、学習と反対の運動を進めるうえで大いに役立つ1冊です。
 農民連の長谷川敏郎会長も本書を推薦しています。

 ◆A5判112㌻
 ◆定価 1320円(税込み)
 ◆出版 学習の友社
 ◆注文は、各インターネット書店から