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政府改定案の問題を学ぶ 東京農民連が清瀬市で学習会 農基法 東京の自給率について議論(2024年05月13日 第1600号)

 東京農民連は4月13日、清瀬市で「食と農を守る学習講演会」を開催しました(写真)。会場となった公共施設の会議室には、農家や市民、団体職員、地方議員など34人が集まりました。
 武山健二郎会長は「いま国会で審議している農業基本法改定の問題について、多くの皆さんと考えたい。食料を外国頼みにして自給率を上げようとしない政府の方針を今日は詳しく学習したい」とあいさつ。
 全国連の岡崎衆史国際部長が政府改定案の問題点について講演しました。
 岡崎さんは、食料自給率の位置づけを弱める政府改定案について解説。政府はこれまで5回作成した「食料・農業・農村基本計画」で一度も自給率目標を達成できなかったことへの反省と検証がされてこなかったことを指摘。それどころか基本計画の中で「食料国産率」や「食料自給力」という指標をつくり、「食料自給率が低くても大丈夫」という“ごまかし”を繰り返してきた延長線上に、今回の改定案がある、と強調しました。
 また改定案21条の「安定的な輸入を確保するため、輸入の相手国への投資の促進をする」という文言に言及。「これは要するに他国の農地の買い占めだ」とし、「たとえ合法な手続きで他国の農地を得たとしても、その国の国民にとっては“土地収奪”にあたる」と強調しました。
 「自給を強化することで、自国民への安心・安全な食料提供、他国から奪わない、平和の礎を築く改定案にしていこう」と呼びかけました。
 討論では東京都の自給率について議論になりました。「畜産・酪農農家は皆さんほぼ家族経営。本当にいま苦しんでいる」「家の周囲の農地が減っている」などの話が出される中、都議会議員の原のり子さんは「1400万人の都民がいる中で、統計上、都の自給率は0%。しかし都全体で約9500戸の農家がいて、皆さん本当に努力されている。多くの都民の食と農の関心を高めたい」と述べました。
 武藤昭夫事務局長は「農家をまわると皆さん後継ぎがいないと言われる。このとんでもない改定案を農家の危機だけではなく、皆の議論にしたい。署名にもぜひ協力を」と訴えました。130人分の署名が当日会場に届けられました。