農基法改定案は徹底審議で廃案に 第5次署名提出行動&国会前緊急行動 農民連、食健連、新婦人など 署名数は累計で9万人超(2024年05月27日 第1602号)
「食料・農業・農村基本法改定案」の審議が参議院で行われるなか、農民連は5月16日、衆院第2議員会館前で、「自給率向上署名第5次提出行動」と「農基法改定案は徹底審議で廃案に追い込もう! 国会前緊急行動」に取り組みました。
市民や消費者に広がる署名の輪

田村(右から2人目)、大椿(左から3人目)両議員に署名を手渡す行動参加者
第5次署名提出行動では、冒頭、農民連の長谷川敏郎会長が主催者を代表して「食料自給率向上を法的義務とすることを求める署名」が累計で9万1883人分になったことを報告し、「さらに広げて参議院での審議に反映させよう」とあいさつしました。
主催者から全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)の星野慧さん(全農協労連)が、「学校給食の運動や学習を通じ、農業とは無関係だった人々も運動の輪に加わっている。さらに運動を広げたい」と述べました。この日だけで1万人以上の署名を提出した新日本婦人の会の浅井まりさんは、広島でJA県中央会と懇談するなど、学習と対話を広げていることを紹介。「生産者と手を結んで学校給食の運動や産直を広げていきたい」と力を込めました。
国会議員からの連帯あいさつで、社民党の大椿ゆうこ参院議員が「国会での審議を聞いていて、これでは親には見せられない、聞かせられないと思った」と訴えました。
日本共産党の田村貴昭衆院議員は、「みなさんの運動で、衆議院では、共産党のほか、立憲民主党も国民民主党も対案を出してたたかった。衆議院では、食料供給困難事態対策法案が審議中だが、食料を増産し、自給率を上げる当たり前の農政をめざしてがんばる」と決意を述べました。
紙智子参院議員は、「14日の参院農水委員会での参考人質疑で、長谷川会長が陳述したアグロエコロジーが国会で初めて議論になった。5人の参考人のうち3人が、家族農業や兼業農家を支える農政が大事だという立場だった。農政のあり方が根本から問われている。引き続き署名を広げてほしい」と呼びかけました。
長谷川、星野、浅井の各氏らは持ち寄った署名を国会議員に手渡しました。
農基法改定案に現場で強い怒り

「農基法改悪を許すな!」と国会に向けてコールしました
引き続き国会前行動が行われ、主催者あいさつした長谷川会長は、「坂本農水大臣は、生産基盤は弱体化していないと国会で答弁したが、そんな識認の大臣が基本法を変えようとしていることは大問題だ」と告発。「1字でも1句でも改定案が修正されれば、衆議院に差し戻しになる。運動をさらに広げ廃案に追い込もう」と強調しました。
参加者からのスピーチで、宮城農民連の鈴木弥弘事務局長は、「地域の農協人9条の会が全県の9条の会にも署名の協力を呼びかけて広げている」と報告。栃木農民連の國母克行会長は「サツマイモを作っているが、政府が言うほど作付けは簡単ではない。自給率が低いと超党派で進めている有機学校給食の取り組みもできない」と批判しました。
埼玉食健連の柳重雄会長は、県内での宣伝やビラ作成の取り組みなどを報告し、「弁護士のなかでもこのままではだめだという声が広がっている」と述べました。
千葉県農民連の信川幸之助さんは、能登半島地震の被災地支援で現地を訪れたことを報告し、「政府の無策・無力を感じた。自給率が低いままでいいのか」と怒りを込めました。
ジャーナリストの吉田太郎さんは、キューバのアグロエコロジーの取り組みを紹介し、憲法のなかに「国民は安全な食料を得る権利がある」という条文が盛り込まれたほか、「小規模・家族農業の労働の日」が設けられ、若者と女性の活躍が農政に生かされていることを説明しました。
「なんてったって伝統食の会」の栗原澄子さんと西岡久子さんがマイクを握り、長野では若者が地元に帰ってきても農業を継ぐことができず、栃木県大田原市では、特産のトウガラシが中国からの輸入で衰退したことなど、地元との交流で学んだことを報告しました。
参加者は最後に、国会議事堂に向かってコールをあげ、集会後は、参議院農水委員の事務所を訪問して要請しました。
今回の行動には、株式会社あかつき印刷、日本原水協からメッセージが寄せられたほか、東京大学名誉教授の醍醐聰さんが参院農水委員に徹底審議を求めるファクス要請を行いました。