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家族農業の地力強化を議論 FFPJが総会ひらく(2024年06月10日 第1604号)

「女性の“影の労働”皆で考えたい」

パネルディスカッションで議論する(左下から時計回りに)藏光さん、斎藤さん、玉山さんと司会を務めた宇田篤弘さん(和歌山・紀ノ川農協組合長)

 持続可能な社会に向けて小規模・家族農業を大切にする政治への転換をめざすFFPJ(家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン)は5月26日、第7回の総会を開きました。
 総会に先立ち行ったパネルディスカッション「家族農業の地力を強化し、未来を切り開く」では、3人の農家がオンラインで語り合いました。
 兵庫県丹波篠山市で夫婦で有機農業(のり・たま農園)を営む玉山ともよさんは「中山間地の44戸の集落で暮らしているが、耕作放棄地がどんどん増えている」と発言。茨城県阿見町で『一反百姓「じねん道」』という家族農園を営む斎藤博嗣さん(FFPJ常務理事)も「私の住む地域でも、過疎化により企業的経営など“攻めの農業”への転換に迫られる農家も多い」と応答しました。
 和歌山県日高川町で夫婦で梅・かんきつを主に作っている藏光俊輔さん(藏光農園)は「私たちは地元13地区にそれぞれ1人は新規就農者に入ってもらおうと取り組んでいる」と紹介。「農家が減ってしまうと、農道整備やため池の管理・維持が大変になる。逆に新しい人が来ると集落がとても活気づく」と経験を語りました。
 斎藤さんは今後の家族農業の地力強化のためには、「教育への農家からのアプローチや、地域内の都市部と農村部の認識の差異を埋めていく取り組みが大事で、私たちもその視点で地域内交流をしている」と紹介。藏光さんも「農家からの発信を強めて、都市部の人に農村へ来てもらうのと同じように、農家も都市部に出て交流することも大事」と提起しました。
 また、玉山さんから「家族農業に限った話ではないが、女性の“影の労働”のような、農家における構造的な女性の立場について皆で考えることも地力をあげるために大事ではないか」という指摘があり、池上甲一FFPJ常務理事(近畿大学名誉教授)は「重要な発言をいただいた。FFPJとして今後も議論していかないといけない」とまとめの発言を行いました。

あいさつする村上代表

 総会では村上真平代表(三重県津市「池の平自然農園」代表)が「いま世界でも日本でも農林漁業という、人が生きるために最も必要な生産に携わる人たちが、生活もままならない状況に置かれている。この社会をどう変えていくか。皆さんと引き続き議論したい」とあいさつ。
 FFPJとして、「国連家族農業の10年」国内行動計画の策定を政府に働きかけ、政策提案などをしていく活動計画など全ての議案が採択されました。