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富山県農民連小矢部支部 有機野菜講習会と見学会実施(2024年06月10日 第1604号)

自然栽培は農薬・肥料を使用しないことではなく、育ちやすい環境を作ること

NICE FARM(氷見市)で開催

廣さんのほ場を見学しました

 富山県農民連小矢部支部は5月22日、有機野菜の講習会と見学会を19人の参加で実施しました。有機農業を推進する富山県高岡農林振興センターにお願いして、氷見(ひみ)市のNICE FARM(ナイスファーム)の廣和仁さんによる講師で実現したものです。参加者は、家庭菜園をしておられる方々であり、将来学校給食に有機野菜の提供も視野に入れて、真剣にかつ楽しく見聞きする場となりました。
有機栽培の動機は、アレルギーや病気は食に起因していることから
 廣さんが有機農業を始められたのは、息子さんの卵や小麦などすべてのアレルギー体質への対策からでした。
 文科省は2022年12月に、通常学級にいる小中学生の8・8%に学習障害(LD)など発達障害の疑いがあると発表。こうした背景に、ネオニコチノイド系の殺虫剤などが影響するという各種発表があることからも、有機農業への取り組みが待たれます。
 廣さんは、石川県羽咋(はくい)市の「木村秋則自然栽培実践塾」に学び、今では、千葉県、秋田県、岐阜県などの自然栽培塾の講師も務められています。すべての野菜で原種の育った自然環境を調べて、調和する育ちやすい環境を整えることの大切さを強調されました。

日本の農業は今日の参加者にかかっているとの指摘に強い衝撃を受ける

 病気は栽培環境を考え、害虫被害は害虫の特徴を理解することにより、対策がみえてきます。土の中にいる微生物が果たしている役割の大切さを理解することが重要であり、山の木々は人間が何も与えないのに、立派に育っていることから、全ての答えは山を見ればわかることを教えていただきました。
 同時に、現在の日本の農業は、食料自給率が38%まで下落し、生産者が高齢化するとともに、生産者数が大幅に減少しています。
 農業基本法改定案について、食料自給率の向上を放棄して、有時には農水省は「イモ類中心の食生活」として、サツマイモとジャガイモによる1日3食のイモ中心の食事となることを示し、廣さんは、「これでいいのでしょうか」と問題提起されました。
 70代から80代の講習会参加者に日本の農業は託されている現状を再認識して、参加者は強い衝撃と危機感を受けました。

実際の野菜ほ場を見学

 講習会の後、NICE FARMの野菜栽培ほ場を案内していただき、参加者が日頃感じている疑問について質問が続き、廣さんから丁寧な回答がありました。
 講習会と見学会終了後、地元の有機食材を使っているオーガニックレストラン「オリーブ」で、パスタランチ定食に舌鼓を打ちながら、自己紹介をして和やかに食事と交流を楽しみました。
 参加者からは「有機農業の将来性を身近に感じました」「自然農法とは、実は科学的なものなのだと感じました」「自然栽培は自然に逆らわずに進めることであり、その深さを知りました」などの感想が寄せられました。
 (富山県農民連小矢部支部ニュースから)