アイコン 新聞「農民」

旬の味(2024年06月10日 第1604号)

 8年前、農地中間管理機構を通して新規就農の担い手として農地の維持のために貸したい人とのマッチングをしてもらった。10年単位の更新制だ▼田んぼの真ん中の粘土質な土地だったけれど、毎年堆肥や籾殻、ワラなどを入れて土の改良に努めてきた。トマトやキュウリといった草丈の高い作物を作る予定で中古のハウスの足を一つ一つ切って高くつないだ。10年の契約で更新がされない可能性があるなんて思いもしなかった▼最近100メートル先の農道の道幅を広くするために工事が始まったのを見て、あれ?と思った。村の人に聞くと地目を変更して商業地として利用できるよう県も市も許可を下ろしたという。急いで中間管理機構に確認すると数カ月前に事実を把握していたと言う。絶句▼あと2年で契約は切れ、この土地一帯は開発されていく運命。それからは畑で作業していると2年後を思って悲しくて仕方ない。私は頑張れると分かってはいるけれど。積み重ねてきた行動と思いがたくさんあふれて仕方がない。(恵)