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食と農の危機打開を 全国代表者会議開く(2024年06月17日 第1605号)

農政変える仲間をふやし集中期間を成功させよう
自民党政治を終わらせる大きなうねりを地域から

「地域から食と農の危機打開を」と討論しました

 農民連は6月6日、都内で全国代表者会議をオンライン併用で開き、37都道府県から約100人が参加しました。開会あいさつを小倉毅副会長が行い、「改定農業基本法に農民連は先頭に立ってたたかってきた。自民党には食料と農業の未来は託せない。みなさんの思いと各地の経験を交流し、方針に反映させて地域に持ち帰り、大きな変化を起こそう」と訴えました。

明日に生きる歴史的取り組み

 長谷川敏郎会長が報告。裏金問題などで自公政治と国民との矛盾が広がるなか、岸田政権は、政治支配の危機を「戦争する国づくり」で強行突破しようとしていると批判。「農業基本法改定で国民の食と農に対する自公政権の無責任ぶりと、アメリカと大企業の新たな利益を優先する、より反動的方向がむき出しになった」と述べ、日本農業新聞のモニター調査でも、7割が岸田政権の農業政策を評価していないと指摘。「今回の代表者会議は、農業基本法改定が強行されたもとで、そのたたかいを総括し、今後の運動の方向を意思統一することが目的。自民党政治を終わらせる大きなうねりを起こそう」と呼びかけました。
 長谷川会長は、改定農基法が参議院では、「国内生産の増大を基本に食料自給力の向上」「新規農業者支援」「農業所得の向上」「農村の役割の評価」など13項目を盛り込んだ付帯決議が全会一致で採択されたことを振り返り、「明日からのたたかいに生きる歴史的取り組みだった」と強調しました。
 農と食を守る運動の広がりには、全国各地での300カ所、1万人を超える学習運動と10万人を超える自給率向上署名運動が力になり、農民連の行動が貢献したことを力説しました。

市民・消費者も危機打開に動く

 さらに日本の食と農に対する国民の不安のかつてない広がりを反映し、多様な市民・消費者団体の新しい運動が展開されたことを指摘。6つの生協が院内集会を行い、「基本法改正に対する提言」を発表し、主婦連合会も長谷川会長を講師に学習会を開き、農水大臣に「基本法の柱に自給率の向上を掲げること」を要望したことを紹介。「農基法改定のたたかいは、農民連が一貫して『戦争する国づくり』と食料問題を結んで発信することで、この問題を平和や自らの食の問題として考える人を増やしてきた」と述べました。
 長谷川会長は、国会論戦を通じて、自給率向上・新規就農者支援・価格形成と所得補償を投げ捨てる改定法の問題点が浮き彫りになったことを指摘。「地域での食料自給率を高める取り組みは地域循環型の経済振興にもつながり、新規就農者も増える地域農業再生の道だ」と述べ、全国の仲間の取り組み・経験を交流しながら、食と農の危機打開を地域からの運動で打開していく運動を農民連が中心になって進めていくことを呼びかけました。
 報告の最後に、政府与党をここまで追い込んだ私たちの運動に確信を持ち、署名に協力していただいた10万人を超える農民・市民・消費者に依拠しながら、仲間づくり、新聞「農民」読者拡大に結びつけるために、全力で奮闘することを訴えました。

学習を基礎に多様な要求実現

 藤原麻子事務局長が常任委員会報告を行い、年間を通した仲間づくりのために、6月から7月末までを「仲間ふやし集中期間」とすることを提案。政権交代のための国民的な合意と世論作りを広げる核となる強く大きな農民連作りに足を踏み出し、要求を大切に農民連への加入を呼びかけて離農・廃業を食い止めるとともに青年への働きかけを強める意義を強調。来春の定期大会を成功させるために、秋の集中期間や、大会後の組織作りも展望した出発点と位置付けて成功させることを訴えました。
 「集中期間」の目標についても、全国的には大会までに前大会現勢を回復すること、都道府県連の年間拡大目標を達成することを基本とすることを提案。役員会での議論と、必ず達成する目標の設定、会員が集まる場をつくることを呼びかけ、「引き続き全ての自治体での学習運動を展開しよう」と述べました。
 さらに、税金の取り組み、地域の生産を維持・発展させるものづくりをはじめ、物価高騰対策、収入保険の掛け金助成など、自治体に対して要請し、畜産・酪農家への声かけもしながら、多様な要求を聞き取っていくことの重要性を強調しました。
 日本共産党の紙智子参院議員が国会報告を兼ねてあいさつしました。

農民連全国代表者会議での討論から

 討論では19人が発言しました。
 石川農民連の宮岸美則会長は、能登半島地震への全国からの支援に感謝の言葉を述べ、復興・復旧にはほど遠い被災地の現状を語り、支援活動を継続しながら組織づくりにがんばる決意を述べました。
 東京農民連の武山健二郎会長は、平和と食料問題を結びつけた学習会を都内で開催したことを紹介し、7月の都知事選では、市民と野党の共同候補の勝利をめざしてがんばるとともに、全国からの支援を訴えました。
 静岡県農民連の吉川利明副会長は、県内各地での学習会、メーデーなどで自給率向上署名を訴え集めたことを報告。仲間づくりでは、税金対策部員の養成、インボイス登録者への働きかけ、労働保険を柱に多様な要求で取り組んでいます。

学習と多様な要求で仲間づくり

 千葉県農民連の越川洋一会長は、全自治体での学習会開催をめざして引き続き各地で旺盛に取り組み、土づくりをテーマにした学習会も計画中であることを述べました。
 滋賀県農民連の斉藤佳伸会長は、5月に新会長に就任し、その後、農基法改定に怒りをもつ2人の仲間を迎えたことを報告。さらに若い人への働きかけを強める決意を語りました。

自給率向上署名に取り組んで

 奈良県農民連の水井康介事務局長は、通年の仲間づくりの意義を強調。税金自主申告の学習をはじめ、畑回り勉強会、学校給食の取り組みなど多様な要求でのつながりが広がっています。
 和歌山県農民連の土井康弘会長は、県内の自給率が低いことを容認する県の姿勢を批判。これを怒りに自給率向上署名を2000人分集めたことを報告し、この思いを受け止め引き続き、運動を継続すると語りました。

政権交代視野に市民と野党の共闘

 笹渡義夫副会長が討論のまとめと閉会あいさつを行い、「私たちのたたかいを通じて、多くの国民が食料と農業の危機をわがこととしてとらえるようになり、これらの人々に働きかけて、地域づくり、組織づくりを進めることが重要。政権交代も現実の問題となり、野党共闘も前進している」と強調。「集中期間では現場に足を運び、先頭に立って奮闘しよう」と呼びかけました。