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岩手県農民連 人工授精師がいなくなる 業務の継続を県に要請

県(左側)に人工授精師の確保を要請しました

 「地域から人工授精師がいなくなる」「これでは牛飼いをやめるしかない…」――。岩手県内の繁殖農家から深刻な声があがっています。
 繁殖牛生産に欠かせない人工授精師。岩手県内では、共済組合、農協、個人開業の資格保有者などによって人工授精業務が行われています。とりわけ、遠野市や盛岡市周辺では共済組合の人工授精師を利用する繁殖農家が多くいます。ところが、岩手県農業共済組合は2024年度末をもって人工授精業務を廃止することを決めています。
 この問題をうけ、岩手県農民連では農家の実態を調査するとともに、岩手県農業共済組合や、岩手中央農業協同組合との懇談を重ねてきました。

和牛改良組合の生産者らも参加

 これをふまえ、6月13日に県に対して「岩手県農業共済組合による人工授精業務の縮小に関する要請」を行い、県としての対策を求めました。要請には米内農民組合(盛岡市)の赤坂誠悦組合長、岡田現三県連事務局長に加え、盛岡市和牛改良組合の生産者4人も参加。県は農林水産部長らが対応し、斉藤信、高田一郎両県議が同席しました。
 要請団からは「開業の人工授精師が山奥の農家に来るのは、実態として困難。人工授精師が来なくなれば、廃業せざるをえない。山間部の繁殖農家にとっては死活問題だ」という声が出されました。県は「地域で人工授精師の確保をしていけるように対策を講じているところ」と回答しました。年度末で人工授精が途切れることのないよう、県連では引き続き運動を強めていきます。