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政府の弾圧に負けない! 農民連が自主申告運動の学習交流会を開催

浦野税理士が講演

自主申告は憲法に保障された権利

 今年4月1日からの税理士法の改正で税務相談停止命令制度が創設され、税理士法違反を如実にした税務調査も行われるなど、自主申告運動に不安の声が届いています。この声にこたえ、原則にのっとった自主申告運動を安心して進めるために農民連本部は、6月19日、立正大学法制研究所特別研究員で不公平な税制をただす会共同代表の浦野広明税理士を講師に迎え、学習交流会を開催しました。
 浦野さんは税務相談停止命令制度について「法律としておかしな制度」と批判。そもそも「税理士が行うのが『税務相談』であって、団体が自主的に行うものは『税務相談』ではない」と指摘しました。

国民の奉仕者の意識不足根本に

 制度自体が憲法21条の集会・結社・表現の自由に違反すると指摘。「本来であれば国民のための税制であるべきなのに、課税側の立場に立った規制が多い」と述べ、戦前の「天皇の代理人」として「おかみ」の権威を背負っていた官僚が、国民の奉仕者としての憲法に基づいた意識にならかったこと、裁判官に税法の知識がなく、税務職員が出向した調査官に依存し、歯止めとなっていないことなどから不当な税務調査が繰り返されていることを指摘しました。

自主的な活動は税務相談でない

浦野税理士の講演を聞く参加者

 浦野さんは「他人の求めに応じて租税事務を行う」のが税理士であり、税理士でない者が行えば違法になると述べ、納税者の自主的な団体が行う自主的な活動は「税務相談」とは全く無関係で、「自主申告運動は全く正当なもの」であることを強調。停止命令による弾圧は憲法21条が否定する検閲だと批判しました。
 悪法や弾圧にはたたかいが必要だとし、そのための道具として、税務調査や停止命令など行政手続きに公正性の確保や透明性の向上を求め、行政指導の拒否で不利益な扱いをしてはならないことを定めた行政手続法や、公務員の憲法順守義務とその宣誓、国民が「近づきやすい税務署」であることを求めた税務運営方針を紹介。また請願権を行使して、税務署にこちらの主張をぶつけることも呼びかけました。

たたかうことで悪法を無力化

 浦野さんは、さらに「法律は行政(権力)から国民を守るためのものであり、法律の解釈は行政の都合ではなく、国民を守る立場でなされるべき」とも指摘し、悪法に対してはたたかうことを呼びかけました。
 1952年に公布された破壊活動防止法が猛烈な反対運動で成立はしたが簡単には発動できなくなったことを紹介し、「たとえ反動的な政策が通ってしまっても、反対運動はやったらその分だけ効果がある」ことを説明。
 税務相談停止命令に対しても、農民連や全国商工団体連合会など8団体が反対の取り組みを進めた結果、国会で「脱税指南等を取り締まるもので、納税者同士の学び合いは取り締まりの対象ではない」との答弁を引き出しています。
 浦野さんは最後に「現行法で十分脱税を取り締まることができる。税務相談を禁止するのは『自主的な納税者運動は悪』という間違った考え方がある」と述べ「カメレオン」とまで言われるように時の政権に沿った政策を立案する官僚組織の色を運動で変えていく必要性を訴えました。

事情応じた対応法に違反しない

 また質疑応答では「会員の個々の事情に応じた対応が必要になるが、税務相談ととられないのか」という質問があり、浦野税理士からは「組織内の運動で個々の事情に応じた対応をするのは当たり前であり、税理士法には違反しない」と回答しました。

原則に自信持ち権利守る運動を

 まとめで本部税金対策部の来住誠太郎部長は「委縮させるための攻撃があるが自信をもってほしい。私たちは教える・指導する側ではなく、一緒に学び合う仲間だという原則抜きには運動は進まない。私たちの運動が納税者の権利を守っていることを自信をもって伝え、広げて農家の経営守る私たちの運動につなげるよう、一緒に成長していこう」と呼びかけました。
 交流会では、鹿児島県内の農民連組織に対し、3・13行動直後に、税理士法違反容疑で調査が入り、弁護士や税理士などの力も借りて機敏に対応し、調査を断念させた経験も報告されました。