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全国オーガニック給食協議会が総会 給食を変えることは社会を変えること 関心の広がり・気運の高まりを実感(2024年06月17日 第1605号)

講演する関根教授

 全国オーガニック給食協議会(千葉県いすみ市長・太田洋代表理事)は5月30日、都内で2024年度総会を開きました。
 冒頭、太田代表理事があいさつ。昨年6月の立ち上げからの1年を振り返り、「オーガニック給食への関心に広がり、機運の高まりを実感している。今年度は大きな転換点。おいしく安全な給食を次の世代に伝えるために大いに広げよう」と呼びかけました。
 総会の第1部では、(1)2023年度事業報告及び決算、(2)24年度事業計画及び予算、(3)役員改選、(4)取り組み報告――が行われ、今年は現地研修会や全国オーガニック給食フォーラムを開催することが呼びかけられました。
 2自治体から報告があり、長野県松川町の取り組みを北沢秀公町長が報告。2019年の1人1坪農園の推進、20年の有機栽培研修会の実施を経て、学校給食への食材提供を行う「ゆうき給食届け隊」が発足しました。その後、町の農業振興と健康で豊かな食生活の実現をめざして「ゆうきの里を育てよう連絡協議会」を結成。地産地消、環境調査などに取り組むなかで、23年には保育園から中学校まで完全無償化を実現したことを述べ、栄養士、搬入事業者、生産者が一緒に取り組む給食への展望を語りました。
 茨城県常陸大宮市からは、鈴木定幸市長が「子どもたちに最高の給食を」のテーマで発言。23年にオーガニックビレッジ宣言を行い、JAと一体で学校給食のオーガニック化と有機農業の推進に取り組み、生産資材への補助、畜産農家との耕畜連携、販路拡大などの支援を市が積極的に進めています。「今後は、オーガニック給食を通じて、子育て環境の充実、環境負荷低減と循環型農業による持続可能な地域づくりをしていきたい」と抱負を述べました。

多様な問題解決 親鍵になりうる

 第2部では、「オーガニック給食をめぐる世界の動向と日本の今後の取り組み」をテーマに、愛知学院大学の関根佳恵教授による講演会。オーガニック給食をめぐるEU・フランスの事例を紹介し、農家主導の多様なネットワークを重視し、有機農業研究機関と公的研究機関・大学・普及所との連携を進め、有機農業・アグロエコロジーの研究を農業教育・研修機関で行っていると報告しました。
 日本でも、給食などの公共調達への期待が高まっているとし、「商品としての食料から権利・人権としての食料」をめざし、公共調達が多様な社会問題解決の親鍵(マスターキー)になりうることを強調。「学校給食、公共調達を変えることは社会を変えること」だと述べました。