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韓国の農村自治研修団 農民連 長谷川会長宅を訪問(2024年07月29日 第1611号)

食料自給率の向上、 農村コミュニティー再生で意見交換

過疎化が進む島根の地方自治体や住民運動の取り組みを研修・視察

自治権取り戻す運動進んでいる

参加者で記念撮影(前列右から2人目が長谷川会長)

 7月3~7日、韓国から黄宗圭(ファン・ジョンギュウ)東洋大教授を団長に「韓国農村邑面(ゆうめん)自治研修団」が島根県の農村再生や内発的発展の事例研修に訪れました。日本でも過疎が進んでいる島根県の地方自治体や住民自治組織の取り組みが視察の目的。韓国では、日本の町村にあたる「邑面」は基礎自治体ではなく、邑面の自治権を取り戻す運動が進められています。

研修団の主体は農村活動家26人 6日には26人もの研究者や学生が邑南町の長谷川敏郎会長宅を訪れまし
た。研修団の主体は農村の根っこの活動家です。
 長谷川会長は22年7月の韓国のCPTPP反対阻止汎国民大会へ農民連から連帯あいさつを送ったことを韓国の新聞記事も見せながら紹介しました。
 研修団からの話題提供の要望は、(1)日本農業の現状と農業基本法改定反対の農民連のたたかい、(2)アグロエコロジーの考え方や実践と小規模家族農業の重要性、(3)26年間の地方議会議員の経験者として、地方自治のあり方や地方議会の役割についてでした。
 島根大学へ留学し博士号を取った具慈仁(グ・ジャイン)先生が通訳しながら1時間の講義の後、「日本の農業の後継者対策・新規就農支援制度は?」「農村を回ってきたが耕作放棄されている農地が多い。野菜など作らないのか」など、次々と質問が出されました。

穀物自給率が日本より低く

長谷川会長宅で学習

 自民党政治のもとで食料自給率向上を投げ捨てる日本の農政を厳しく批判すると、韓国も穀物自給率が心理的限界といわれる20%を下回る状況になったことが紹介されました。
 韓国農村経済研究院が発表した「統計で見る世界の中の韓国農業」では2021年からの3年間平均の平均穀物自給率が19・5%になっています。日本の穀物自給率は28%で、2008年に日本より3・8ポイント高かった韓国が逆転してしまいました。

会長宅近くの農場を見学

 両国ともに、食料自給率向上が大きな課題であることや、農村コミュニティーの再生は農業の再建なしには進まないこと、進める力は地方自治の強化と農民運動・市民運動の連帯の方向にあることが意見交換・交流の中で浮かび上がりました。
 研修団のみなさんからは「日本の農家を直接見学する大変貴重な経験でした。また、地方行政のあり方や日本の農民運動の状況についても勉強になりました」と感想が寄せられました。
 今回の長谷川会長宅への訪問・研修は、島根大学名誉教授の保田武彦先生や関耕平教授の紹介で企画されました。