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役員に新しい女性会員が加わって愛知農民連が変わった(2024年08月05日 第1612号)

みんなで頭を柔らかく使ってやっていきたい

私たちと消費者の距離を近づけたい

植え付けから収穫までイベント化し、交流も

アイデアが次々とわいてくる

こだわり野菜の農家
酒井 美代子さん(56)
=愛知・豊川市在住=

地域の人から農地を預かり

収穫が近いトウモロコシと酒井さん

 愛知農民連で新しく役員に加わった酒井美代子さん(56)。豊川市でこだわり栽培の露地野菜を3ヘクタールで耕作し、大根やニンジン、トウモロコシを中心にジャガイモやサツマイモ、ホウレンソウなどを作っています。また、地域の人が管理できない農地も預かり、合計10ヘクタールを管理しています。
 「35年間、生産者と消費者をどれだけ近づけることができるか、考えてやってきました」と酒井さん。トウモロコシ狩りなどのイベント開催も続けています。「個人で販売すると消費者と近いほうが売りやすいのがきっかけでした。野菜に興味を持ってもらわないと買ってもらえない」。若い母親たちに、「野菜をもっと食べよう」と話をしています。
 「農民連とは売り先としての付き合いが最初でした」と話す酒井さんは、農民連アツミ産直センターなどに出荷しています。「アツミ産直センターの会員の紹介で『らでぃっしゅぼーや』と出会い、こだわり野菜の生産者を探していると聞き、挑戦を始めました」と振り返ります。
 「最初はただ農薬をかけなければよいのかと思い、虫だらけになるなど失敗もしました。でも同じ思いの人たちがいろいろ教えてくれました」。今も減農薬や無農薬の野菜作りに挑戦しています。

 

今年は有機肥料に切り替えて

虫もいましたが生でもおいしい!

 酒井さんは、毎年新しい挑戦をしています。「年1回しか収穫できないので、思いついたことはすぐにやってみるようにしています。昨年は無農薬でトウモロコシを作り、今年は無化学肥料に挑戦中」。昨年は月桃というハーブのエキスを散布。「硝酸態窒素ではなく有機体窒素を吸収して、害虫がつかないようになると聞いて試してみました。その効果があったように感じたので、今年は有機肥料に切り替えてみました」。案内された畑のトウモロコシは虫もいたものの生でも甘く、「虫がいるということは安心して食べられるということを消費者にも話しています」と酒井さんは語ります。

 

会員の提案でソバ植え商品化

 「現状管理している農地はキャパシティーを超えています。そこをどう活用するかが課題」との悩みを解決するために、作物の植え付けから収穫までをイベント化してお客さんや地域の人を巻き込んで行っています。
 「耕作放棄された農地を片付けるところから始め、何を植えていきたいか話し合いました。近所の農民連会員の提案でソバを植え、みんなで収穫し商品化までしました。去年はトウモロコシを地域で育て、それがきっかけで新しいグループも立ち上がりました」と地域の人が集まりイベントや交流する場に畑がなっています。
 「将来的には企業の福利厚生として、作付けや収穫体験を有料で提供できないか…」とアイデアが広がります。

 

「農民」から学び消費者に語って

 酒井さんは今回新しく愛知農民連の役員にも加わりました。アイデアマンの酒井さんが加わったことで新しい動きも出ています。
 「女性差別撤廃条約(CEDAW=セドー)の会議に女性部代表を派遣するカンパでは農作物を販売して集めることを提案しました。それに応じて伊藤政志会長が規格外の玉ねぎを1トンも提供してくれ、私たちも売り先の確保や選別・袋詰めなど行い、カンパを集めるめどが立ちました」と酒井さんの提案が実現しました。
 「カンパ用の畑なども、使っていない農地を活用してできるのではないかと思っています。みんなで頭を柔らかく使ってやっていきたい。新聞「農民」などで学んでいるのだから、消費者にもっと語っていけるはずです」と新しい展開も見据えています。