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豚肉産直で結びついている丹沢農場(神奈川県)の新加工場見学(2024年08月05日 第1612号)

東京の新婦人 品川支部のみなさん

高品質となった豚肉をさらにもっと安定的に消費者の元に届けたい

これからも産直を通じて農業を応援していきます

説明する松下さん(左)と太田さん(こちら向き右側)

 東京の新日本婦人の会品川支部のみなさんが7月23日、豚肉の産直で結びついている神奈川県の株式会社丹沢農場(愛川町)を訪れ、新しくなった豚肉加工場を見学しました。新加工場を前に参加者は、産直運動をさらに進める決意を新たにしていました。

ストレスかけず分別管理の飼料

人にも製品にもクリーンな環境を実現

 丹沢農場は、養豚農場である「海老名畜産」と食肉製品製造工場の「中津ミート」とが2022年に一つの会社となり、誕生しました。
 冒頭、代表取締役の松下憲司さん(神奈川県農民連執行委員)から「旧加工場ができてから30年以上がたち、施設・機械も老朽化したなかで、やっと新工場ができました。引き続きおいしい豚肉をみなさんにお届けできます。今日はゆっくり見学していってください」とあいさつしました。
 営業部長の太田雄大さんが、パワーポイントで、環境への配慮、おいしく安全な豚肉の生産、豚にストレスをかけずに健康に育てるアニマルウェルフェア(動物福祉)の追求、従業員の労働環境の改善、日本農業と食を守るという同社の基本理念を説明しました。
 おいしさを出し、安全性を保つのが飼料。遺伝子組み換え飼料を防ぐために、分別生産流通管理を行ったトウモロコシと大豆かすを使用。国産玄米、サツマイモ、大麦等を使用することで、臭みがなく、脂にうまみがのった豚肉が提供できます。
 豚の飼育環境も、ゆったりした豚舎で、寝床には厚さ1・2メートルのおがくずを敷き詰め、微生物を繁殖させることでふん尿を分解し、不快なにおいの発生を防いでいます。
 さらに、と畜直後(8時間以内)の温かく、鮮度の高い豚肉を練り上げてペースト状にしたものを原料に加えることで結着性を高め、歯ごたえのよいウインナーをつくり、添加物、発色剤はいっさい使いません。

 

2倍の広さ実現 倍の製造量展望

よりおいしく品質の向上を見込みます

 説明を受けた後、参加者は新加工場を見学。原料の枝肉の入荷から脱骨、整形、精肉の加工、加熱、冷凍などの一連の流れを経て、最後の出荷までの工程を見届けました。
 多くの部署は新機械搬入前でしたが、従来の工場の2倍の広さになり、クリーンで製品にも人にも配慮された環境を実現しています。肉をミンチにしたり、ウインナーをくん製する機械なども新設し、よりおいしく品質のよいものを届けられる工場として設計されています。空間にゆとりがあり、働く人にとっても動きやすい環境です。
 これまでは精肉やみそ漬などを1日あたり6千~7千パック、ハム・ソーセージなどを4千~5千パック製造していましたが、新工場稼働後はその2倍程度の製造量を見込みます。

 

地域に根差した食の文化を創造

 一通り見学した後、質疑応答の時間に。松下さんが、ふん尿処理など近隣住民への理解促進の努力の歴史を振り返り、その後の粘り強い対話・説得を通じて理解の輪が広がり、今では農場の堆肥が近隣の農家に必要とされ、町のふるさと納税の返礼品や特産・ブランド品として各方面で紹介されるなど、地域に根差した事業所として成長し続けていることをしみじみと語りました。
 新婦人品川支部の武田よね子さんは、「今日の見学会のことを思い出しながら、安心してお肉を食べようと思います。アニマルウェルフェアの取り組みも実際に話を聞いて理解を深めることができました。これからも産直を通じて農業を応援していきたい」と感想を寄せました。
 松下さんは「新工場の稼働で、高品質な商品をより安定的にお届けできるようになります。アニマルウェルフェアの精神で、新しい食文化の創造を目指すとともに、地域に根差して食料自給率向上、農業の再生に向けて、引き続き取り組んでいきたい」と期待に胸を膨らませています。