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離農者が出ないよう寄り添った対策を 農民連と農民連ふるさとネット 秋田・山形豪雨被害で農水省要請(2024年09月16日 第1617号)

 農民連と農民連ふるさとネットワークは9月4日、秋田・山形両県の、7月の豪雨被害に対する対策を求めて農水省に要請を行いました。
 8月20~22日に行った現地での被害調査と聞き取りをもとに、被災農家が営農意欲を失わず、今後の展望が持てるような対策を求めて5項目にわたって要請しました。

被害実態伝え対策を求める

現場写真を見せて訴える庄内農民連の梶さん(前列右から2人目)

 長谷川敏郎会長は「現地調査に行ったが本当に大変な被害だった。災害によって農家が離農することがないよう万全の対策を」と求め、要請書を手渡しました。
 農水省は「8月6日に内閣府から激甚災害指定の見込みのプレスリリースが出ており、周知に努めている」と説明。国の災害復旧事業の補助率かさ上げや査定前着工制度の説明がありました。ただ来年の作付けが間に合わない場合については「収入保険で対応を」と述べるのみで、加入できない農家への救済は全く示されませんでした。白色申告者を収入保険の対象にすることも「税金を投入する以上、日々のお金の出入りを確認できる青色申告以外に広げられない」とかたくなに拒否しました。
 参加した山形・庄内農民連の梶昇司事務局長が、「被害農家が鶴岡市に相談したが、内閣府からの通知が出ているにもかかわらず『激甚指定がされていないから5割しか補助できない』『事業の対象にならない』の連呼で困っている」と対応の改善を求めました。
 農水省は「県などへの説明に努めてきたつもりだったが、一部市町村で十分周知されていなかったことが分かった。今後も市町村や農家の声をきちんと聞いて対応したい」と回答しました。

「軽トラは対象外」を転換させ前進

 今回の水害で建設から30年たったJA秋田しんせいのカントリーエレベーターが浸水被害を受けています。要請では耐用年数が過ぎた施設への支援策を要求。農水省は「耐用年数が過ぎた施設は災害復旧事業の対象にはしにくいが、『強い農業づくり交付金』や『産地生産基盤パワーアップ事業』で対応させていただきたいので、県に相談を」と回答。県に連絡することを約束しました。
 また、被災した揚水機場やカントリーエレベーターが同じ被害を受けないための対策を求めたのに対し、「災害復旧事業では現行の建設基準で建設できるので、ある程度対応は可能。さらに農地防災事業も併せて行うことができるので農政局に相談してほしい」と答えました。
 水没した軽トラックについては、農業用自動車として被災調査を踏まえて検討したいと答弁。従来の「軽トラは支援対象外」を転換させたことは大きな前進です。