兵庫 丹波市革新懇 農業問題学習会を開催 70人参加で大盛況 農民連 長谷川会長が講演(2024年09月16日 第1617号)
今こそ家族農業を再評価し、 自給率向上を

70人が集い、長谷川さんの講演に耳を傾けました
兵庫県の丹波市革新懇主催の農業問題学習会が8月24日、丹波市の柏原自治会館で開催されました。講師は農民連会長の長谷川敏郎さん。
長谷川さんは5月に、参議院農水委員会での「食料・農業・農村基本法改定案」の参考人質疑で、参考人の一人として自身の営農の実践をもとに意見陳述を行いました。
令和の米騒動は減産政策の結果
この学習会には、丹波市以外からも多くの参加者がありました。有機農業の農家や家庭菜園で自給自足の農家など農業にかかわる人たちをはじめ、食に関心のある主婦、弁護士、医師、学校給食でオーガニック食材を求めている人や行政の農林担当職員まで幅広い参加がありました。
講演のはじまりは、「令和の米騒動」と言われる米不足の原因からでした。「原因は地球温暖化だけでなく政府の政策にある」と述べ、生産者米価の暴落以降、「低米価と農業資材の高騰などで、離農が急激に進んだうえ、長期にわたり減産を押し付けた結果だ。安定して十分な生産量を確保し、価格保障・所得補償によって農家の収入を支えるという政策を採っていれば防げた事態だ」と分析します。
食と農の危機はかつてなく深刻で、1960年に78%だった食料自給率は38%に落ち込んでいます。改定農基法では、食料の安定供給は、国内増産ではなく、さらなる輸入依存、安定的輸入を掲げています。
これからの日本の農業について、「この20年間で基幹的農業従事者は240万人から136万人と半減。70歳以上が69・6万人で、そのうち80歳以上は23・6万人を占めている。高齢者で農業を守っているのが現状だ」と指摘しました。
また「家族農業の特性を再評価し支援していくことこそ、環境にやさしく持続可能な農業経営体を増やしていく道だ」と述べ、最後に、長谷川さん自身によるアグロエコロジーの家族農業実践の紹介があり、「有畜複合による経営内の資源循環で化学肥料に頼らず地力を維持できている」と語りました。
市民の応援が自給率維持に貢献
今回の学習会のテーマは「日本農業の再生は地域から」でした。丹波市には「農業と農村が必要」という暗黙の市民合意があると思います。
丹波市の多くの小規模家族農業者や家庭菜園の農家、丹波市の農業を支える市民の応援が、食料自給率を維持することに貢献しているのだという感想を持ちました。
丹波市は、昨年3月に県下で初めて「オーガニックビレッジ宣言」をしました。有機米による学校給食も行われました。
有機農業だけにこだわらない、丹波の地域に適したアグロエコロジーの農業が可能だし、実践していこうと思えました。
日本農業の将来を考えるよい学習会になりました。
(兵庫・丹波ひかみ農民組合 中西勝廣)