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韓国の農民組織と大阪農民連が懇談(2024年09月23日 第1618号)

米流通での問題点は?
韓国よりも条件が悪い
米生産には補助金なし

自由貿易推進に抗して連帯しよう

両国の農政について意見交換しました

 韓国の農民組織・全国農民釜山慶南連盟の議長、副議長、会長ら農民16人(20代~70代)が8月28日、大阪農民連を訪れ、日韓の農業問題について懇談しました。同連盟は、中小農業者の国際組織であるビア・カンペシーナに加盟しており、TPP(環太平洋連携協定)反対などアグリビジネスに対抗すべく、運動しています。
 大阪農民連からは府連事務局長の中西顕治さんと大阪産直センターの笠井亮さんが出席しました。中西事務局長からのリポートを紹介します。

提言を政府に提出

 最初に大阪農民連の歴史として、高度経済成長時の土地収用への闘争から発足した府内の地域団体の連合体として始まったこと、現在では農産物の集積・販売、税金対策の学習を主に行っていることを説明しました。今年改定された「食料・農業・農村基本法」に対して、農家への支援が薄いこと、食料自給率向上が軽視されていることなどへの提言を出し、政府に要求してきたことを紹介しました。

農家を軽視するのは

 韓国側から、「最近の米の流通での問題点は何か」と質問が出され、「米を作らせない政策が浸透し、供給量に余裕がなくなってきて、需要量が少し伸びただけで品不足が発生している」と回答。「政府はなぜ、国内農家を軽視するのか」との問いに、「戦後のアメリカによる食料支配戦略がいまだに継続されている」と述べ、「WTO(世界貿易機関)などの影響はあるのか」との質問には「輸入資材の高騰もあるが、輸入肉・乳製品の影響で畜産農家が激減してきている」と答えました。

日本の状態に共感

 懇談の中で、「生産者米価が昨年実績で30キログラム玄米が7500円程度」と伝えると、「その価格で販売するのであれば、別途補助金が出ていますよね」との質問がありました。「補助金は米を作らないことに対しては出ているが、米を作ったことに対しては皆無である」と伝えると、「韓国よりも条件が悪いのではないか」と驚きの声があがりました。
 韓国でも、アメリカの食料支配戦略の下での自由貿易協定によって、農民が苦しめられてきたとのこと。日本でも同様の状態が起こっていることに共感の言葉が寄せられ、韓国でもアメリカの食料支配戦略に対抗すべく準備をしていると語ってくれました。
 9月25日には韓国の全北女性農民会連合から大阪農民連への訪問の申し入れがあり、府連や大阪都市農業研究会が対応する予定です。