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生産者とお米屋さんが熱く交流 5年ぶりの開催 農民連ふるさとネットワーク(2024年09月23日 第1618号)

このままでは作れない、売れない、食べられない国産米

お米屋さんと農家の顔が見える関係で、食と農を守ろう

 農民連ふるさとネットワークは9月8日、お米屋さん交流会を5年ぶりに都内でオンライン併用で開催し、30人以上のお米屋さんをはじめ、産地から11県15組織の総勢60人以上が参加しました。

力を合わせて危機の打開を

冬木教授の講演に熱心に耳を傾けました

 主催者を代表して、ふるさとネットの鈴木弥弘副代表(宮城産直センター事務局長)があいさつ。「新型コロナ禍の影響で5年ぶりの開催となったが、生産者も米屋もたいへんな状況にある。危機打開のために生産者、消費者、米屋が力を合わせて声を上げていこう」と訴えました。
 「米需給動向の特徴・背景と今後の課題」について、東北大学大学院の冬木勝仁教授が記念講演。最近の「米不足」の原因に消費の増加、産地出荷の事前契約の進展などを指摘。問題は、政府の需給見通しが消費の減少という前提にたち、過剰な生産調整の強要と需給調整の民間任せにあると指摘しました。

「食料安全保障」の視点が必要

 「食料・農業・農村基本法」の改正により、今後の米生産についても「需給均衡」とともに「食料安全保障」という観点が必要であり、そのために米生産の持続性が維持されるよう生産者の所得を確保する必要性を強調しました。
 25年3月に策定予定の新「食料・農業・農村基本計画」で食料自給率目標を明記するよう求める取り組みが必要であり、今後の米政策について、価格支持と組みあわせた所得補償、備蓄に加え、需給調整分を含めた政府在庫の数量増とそれを前提にした主食用米生産の安定的確保が求められると述べました。
 ふるさとネットの湯川喜朗事務局長が24年産米情勢等について報告。各都道府県の概算金の状況について説明し、9月には枯渇する6月末の民間在庫と概算金を大きく上回る市場価格との関係について述べ、米価は上昇しているが、米の値段は5キロ3500円でも茶わん1杯46円であることを強調。「消費者と顔が見えるお米屋さんの強みを生かして販売を伸ばしてほしい」と呼びかけました。

平年以上の収穫 お客に安心感を

 産地からの報告では、茨城農民連の岡野忠会長が「高温のため1週間早く刈り取りを済ませた。標準以上の出来だと思う」と述べ、宮城産直センターの鈴木事務局長は「これから本格的に刈り取りが始まるが、作柄もよく平年以上に収穫できる」と報告。新潟県の佐藤恒夫さんは、録画で「豪雨で一部倒伏もあるが、昨年より品質もよく水不足も心配はない」とメッセージを寄せました。
 お米屋さんからは「米価の乱高下が激しいが、国民のためにはならない。銀行からの融資を受けようとしても、米屋には金は貸してくれない」「お客さんに安心感を与えるために店は開けておくようにしている」「ネオニコチノイド系農薬フリーを求めるお客さんの期待に応えてほしい。市場価格だけに左右されない関係をつくりたい」などの声が出されました。