TPPプラスを許さない!全国共同行動がシンポジウム 10年間のたたかい振り返る(2024年09月30日 第1619号)
自由貿易協定を止め、 食と農を守る市民と野党の共闘につながる運動に

TPP(環太平洋連携協定)やそれに続くRCEP(地域的な包括的経済連携)協定など、自由貿易協定に反対して幅広い団体・市民が共同してたたかってきた「TPPプラスを許さない! 全国共同行動」実行委員会は8月30日、東京都内で「TPPと闘った10年 いのち・暮らし・地域を守るために」と題するシンポジウムを開催し、これまでの運動に区切りをつけました。
自由貿易協定とのたたかいに携わってきた4人が登壇し、運動を振り返りました。
国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)の元事務局長、坂口正明さんは運動が発展した理由として、「TPPを止めたいという一致点を大切に、お互いの意見を尊重して行動してきた」「野党時代の自民党を含め、様々な人々の運動を連携させることを意識してきた」「国際的な情報共有・連帯が強まった」「学びの場としての役割も発揮」の4点を指摘。
「この運動が市民と野党の共闘につながる経験となっており、今後に生きてくる。農基法改定は戦争準備に食料・農業を従属させるもので、これからも連帯した運動が必要」と話しました。
政治経済学者の植草一秀さんは数々の政府の「2枚舌」による背信行為を紹介。
「TPPによって日本の第一次産業や食の安全、安心安全な医療が壊されてきた」と指摘し、主要農作物種子法の廃止など法制度の改定や、外国資本の流入がTPPに続いて起こり、グローバル資本によって日本の制度が変えられてきたことを紹介。「草の根の運動の大切さを痛感するとともに、政権を変えないと実現できない。思いを共有できる市民と政治勢力が連帯して、新しい政権を作って政治を変えることにつなげる必要がある」と呼びかけました。
食政策センター・ビジョン21の安田節子さんは「アメリカの食料戦略で日本の農業の衰退に拍車がかかっている。最後まで守ってきた米にまで危険信号がともっている。輸入規制とならないよう、食品安全規制もアメリカの要求に沿って緩和されてきた」とアメリカ言いなりの実態を批判。水田攻撃やゲノム編集食品の押し付けにさらされていることも指摘し「食料自給こそが独立国の礎。地域の有機自給圏を作り、真の独立国を」と訴えました。
農民連からは岡崎衆史国際部長が登壇。「自由貿易協定の影響は農家の数も農地も農業産出額もすべて減少するという形で表れている。農業と農村の荒廃を表している。最低賃金の全国平均は時給1055円となっているが、米農家は2022、23年連続で10円。これでは続けられない。世界でも米の需要はひっ迫している」と現状を紹介。「農は水などと同じ人々の共有財ではないか。これと真逆の商品として扱うのがTPP。食と農の権利を守るには自由貿易協定を止める必要がある」と訴えました。
会場からも運動にかかわってきた人々からの発言があり、共同の枠組みを次に伝えることを誓って終了となりました。