民間基金「アクト・ビヨンド・トラスト」 ネオニコ問題解決とオーガニック給食の普及へ(2024年10月07日 第1620号)
クラウドファンディング呼びかけ目標額330万円 10月31日まで
環境問題の解決に努力する市民団体や研究者を助成、支援するアクト・ビヨンド・トラスト(一般社団法人、代表理事は星川淳さん、以下abt)は、「子どもたちに健康な未来を!全国のオーガニック給食支援プロジェクト」をスタートさせるために現在、クラウドファンディング(多数の人から少額の資金を調達する)に取り組んでいます。
abt理事の美濃部真光さんに話を聞きました。
設立当初からネオニコ重大視

abt理事の美濃部さん
2010年に設立されたabt。美濃部さんは「設立の当初から、ネオニコチノイド系農薬による人体や環境中への影響の問題を解決したい、という思いがありました」と話します。「公正で持続可能な社会づくりにつながる活動を助成する独立した民間基金として、『ネオニコ問題』に加えて『原子力や石炭火力に頼らないエネルギーシフト』、『東アジアの環境交流』の3本柱で助成活動をしています」
分析センターも過去に助成採用
設立から14年間の助成件数は216件、助成総額は2億6000万円にのぼります。3分野のうちネオニコに関する助成件数は最多で、これまでに大学の研究「1年を通したミツバチのネオニコ暴露経路解析」や生協の取り組み「ネオニコフリー栽培技術講習会」などに助成してきました。
農民連食品分析センターも18年に「市販国産鶏卵のネオニコ系農薬残留分析」を応募・採用された他、22年「女性農業従事者の尿中ネオニコ系農薬検出実態調査」でabtから助成を受けています。
abtホームページにはこんな一文も掲載されています。「重要だけど見すごされがちな“とんがった”活動を支援してきました」――。
そして今回の「子どもたちに健康な未来を!全国のオーガニック給食支援プロジェクト」について美濃部さんは、「子どもたちの発達や神経系への影響、アレルギーなどの免疫疾患を引き起こす原因の1つとしてネオニコがあげられています。同時に国は『環境と調和のとれた食料システムの確立』を目指すとしています。オーガニック給食の実現に尽力されている団体の活動を波及・発展させたい、『資金的な課題で導入できない』という声に応えたい、という思いで立ち上げました」と語ります。目標金額が集まれば、来年4月から学校や保育園、団体などへの支援を始めます。
「幅広い方々とつながりたい」

上の二次元コードを読み込むとクラウドファンディング概要サイトに入れます
また、abtとして初めてクラウドファンディングに挑戦する理由については、「これまで以上に幅広い方々とつながっていきたいから」と述べ、「私たちが市民団体や市民の皆さんと深くつながり、ネオニコの問題やオーガニック給食の課題をより多くの人と共有することで、農家の皆さんが『やれるところからやってみよう』と思ってもらえるように努力したい」と熱意を語りました。
農民連食品分析センターの八田純人所長は、「国内でネオニコの問題がほとんど扱われていない頃からabtさんは警鐘を鳴らされてきました。市民団体への助成のみならず、研究機関への助成も積極的に行うことでエビデンス(根拠)としての知見の蓄積にも貢献してきました。ネオニコの問題でabtさんが果たされている市民社会への役割は本当に大きいです。どうかご協力ください」とコメントを寄せました。
クラウドファンディングは10月31日まで行われます。目標金額は330万円です。詳細は右の写真内の二次元コード、またはabtホームページをご覧ください。