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3・13重税反対行動の発展をめざすシンポジウム 徴税・徴収の強権化進む 主権者の権利としての納税守る運動へ発展を(2024年10月07日 第1620号)

 3・13重税反対中央実行委員会は9月20日、「3・13の発展を目指すシンポジウム」と国会議員会館内で開催しました。会場に70人、オンラインでは230カ所以上から参加がありました。

納税者は主権者税務行政是正を

あいさつする全商連の太田会長(右から2人目)

 全国商工団体連合会(全商連)の太田義郎会長が主催者を代表してあいさつ。「事業者は、1000円帳簿が合わなくても大慌てするのに、政治家は何千万円もの収入を記載せず、脱税にもならない。税の集め方と使い方がおかしいと、多くの人に伝えていく必要がある。人権の一つである納税の権利と税の在り方について勉強し、誰がこんな世の中にしたのかを考えていきたい」と話しました。
 全労連常任幹事の香月直之さんが基調報告。冒頭に「多くの人が重税に苦しめられている」と指摘。最悪の不公平税制である消費税が税収のトップになる一方、1億円の壁は解消されないままで、大企業の税負担は中小の約半分しかなく、大軍拡で大増税も予定されおり、財政運営そのものを正す必要があることを述べました。
 また、税金だけでなく社会保険料でも人権無視の違法徴収が横行しており、行政を正す運動が重要な情勢を紹介。
 「3・13重税反対統一行動は、申告書を出しに行くのが目的ではない。納税者が国の主権者としての自覚を高め税制・税務行政の是正を求めて一斉に声を上げ行動する機会として発展させる必要がある」と運動の発展を呼びかけました。

納税者権利憲章 制度化で保護を

 パネルディスカッションでは3人が発言しました。全商連常任理事の服部守延さんは税務行政のデジタル化による「調査・徴収専門の機関」化や、税務調査、年金事務所など徴収行政の強権化を、実例を示しながら紹介。また申告のデジタル化、キャッシュレス化の推進でクレジット払いを勧められ、クレジット会社との間の金銭消費貸借契約にされてしまい、納税猶予などの緩和制度が利用できなくなることにも警鐘を鳴らし、「納税者を脅し従わせる税務行政」から「納税者を保護しサービスに徹する税務行政」に転換するために納税者権利憲章の制定を求めました。
 青山学院大学名誉教授の中村芳昭さんはアメリカと比較しながら、日本での法制度整備の必要性を解説しました。
 アメリカでは債務者の経済再生を基本に据えて、滞納者の権利を保護。悪質な場合を除き差し押さえをせず、長期の分割納付に応じていることを紹介。日本では滞納者を悪人のように扱って権利保護が置き去りになっている点や申告と徴収が国税通則法と国税徴収法に分かれており、両者間の調整は現場の担当官の裁量任せになっていることなどを指摘し、多くのモデル法や先進国の事例を踏まえて権利憲章を法制度化する必要性を述べました。

メリットのないデジタル化行政

 税理士の奥津年弘さんは「政府が進めているデジタル化は危うい」と警告しました。税務行政のデジタル化は、納税者が税務署に行くわずかな時間と紙の節約と引き換えに、様々な代償を払わせていると指摘。申告書収受印の押なつも権利としてみるべきで、「キャッシュレス納税でないといけない」と思わされていないかなど、きちんと勉強して臨む必要があり、そうした学びの場としての3・13の運動の必要性を訴えました。
 まとめで自由法曹団の西田穰弁護士は「こうしたデジタル化は行政にメリットはあるが国民にはない。実質的に賦課課税制度に戻すもの」と批判。「主権者としての権利を自覚し、不断の努力でたたかっていかなければ権利は変質してしまう。税務相談停止命令制度施行後、初めての3・13となる来年の運動は極めて重要だ。運動が縮小すれば停止命令を受け入れたことになってしまう。許せないという怒りの運動を広げよう」と呼びかけました。
 日本共産党の小池晃参院議員も参加し、激励しました。