あらゆるジェンダー差別なくそう 選択議定書の批准を一刻も早く(2024年10月07日 第1620号)
CEDAWセドー(国連女性差別撤廃委員会)NGO代表団に農民連女性部も
「あらゆる分野で、女性が性にもとづく差別を受けず、平等に生きられる権利を保障しよう」――今年10月、スイス・ジュネーブで、国連女性差別撤廃委員会(CEDAW=セドー)の日本報告審議が、8年ぶりに行われます。
批准国には権利守る義務がある

ジェンダーギャップ指数156カ国中118位(2024年、世界経済フォーラム)、女性の国会議員の割合は11%(衆議院)、女性の賃金は男性の78・7%(正規雇用・OECD平均は88・4%)、選択的夫婦別姓の制度なし――ジェンダーをめぐって、世界から大きく後れを取っている日本。
これらの不平等を解決していく上で重要な国際条約が、1979年に国連で採択された女性差別撤廃条約です。「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃」をめざして制定された条約で、現在の締約国は189カ国。日本は1985年に批准しました。
同条約が目指すのは、「男らしさ」「女らしさ」の呪縛(じゅばく)から解放されて、誰もが性別にとらわれず自分らしく生きること。法律や規則のなかの差別はもちろん、社会慣習・慣行の中の性差別をなくすことも求めています。
この条約を批准した締約国は、立法、行政、司法を総動員して、あらゆる形態の性差別を受けない権利を保障する義務を負っています。締約国がこの義務を怠らないよう監視しているのが、CEDAWです。今年10月に行われるCEDAWの日本報告審議では、日本のジェンダー平等政策の実施状況が審議され、「総括所見」として日本政府に勧告されます。
これまでも、「男女雇用機会均等法」(1985年)や、「男女共同参画社会基本法」(1999年)、いわゆるDV防止法(2001年)など、日本のジェンダー平等に一定の役割を果たしてきた法律は、CEDAWでの勧告や議論の高まりを背景に制定されており、今回のCEDAW審議も日本での女性の権利を国際基準に引き上げる大きなチャンスとなるものです。
条約と「両輪」となって実効性を強化するべく、1999年に改めて採択されたのが「選択議定書」です。世界では115カ国で批准され、ジェンダー平等の実現には不可欠な「議定書」ですが、日本はいまだに批准しておらず、批准を求める女性・市民の運動が続けられています。
NGOリポートで農村女性担当
CEDAW日本審議では、日本政府の報告だけでなく、日本の深刻なジェンダー差別の現状がきちんと反映された総括所見が出されるよう、NGOもリポートを国連に提出し、前回の審議でも委員の理解に大きな力を発揮してきました。
今回もNGOリポートが取り組まれ、農民連女性部は日本婦人団体連合会(婦団連)と、日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)の2つのリポートで農村女性などの分野を担当しています。
これらのリポートで農民連女性部は、▽輸入自由化政策と農家支援予算の削減で、農村女性の経済的困難がより深刻化していること、▽農業委員会などでの女性の比率は今なお低く、実態調査もされていないこと、▽所得税法56条によって農家など自営業者の家族労働が経費として認められず、女性の経済的自立が阻害されていること、などを指摘し、改善を求めています。
ジュネーブでの本審議(回答者は日本政府)の前後には、NGOからの聴取の場も設けられるため、意見表明や審議傍聴、休憩時間でのロビー活動に、NGO代表団が派遣されます。農民連女性部も全国にカンパを呼びかけ、女性部役員の久保幸子さん(茨城)を、婦団連代表団の一員として現地に派遣します。
農村女性にアンケート調査実施
また、農民連女性部では、CEDAWの日本審議に向けて、「農村女性の地位向上に関するアンケート」に取り組み、全国47都道府県から630人分の回答を集めました(詳細は次号以降)。アンケートで寄せられた声を久保さんに託し、国連で訴えていきます。