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クロマグロの漁獲枠の大幅拡大を JCFU沿岸漁民連が東京行動

署名8千人分余を提出 水産庁長官に要請

 「クロマグロの沿岸漁獲枠拡大を求める東京行動」が9月26日に、JCFU全国沿岸漁民連絡協議会の主催で行われ、北は北海道から南は沖縄まで、約20人の漁民と市民・消費者をあわせて約30人が参加しました。

農水省前行動で 漁民切実な訴え

農水省前で訴えました

 お昼には、全国沿岸クロマグロ漁民代表者集会が農水省正門前で行われ、主催者を代表して鈴木重作・JCFU共同代表(山形県漁協)が「みなさんの努力で8千人を超える署名が集まった。小さな活動ではあるが、物事を動かす大きな第一歩だ。JCFUだけでなく、国民的な運動に発展させ、日本の水産業の変革を促そう」とあいさつしました。
 連帯あいさつを農民連の藤原麻子事務局長が行い、「農民や沿岸漁民の家族経営を守ることは、新鮮な食料生産を担い、国民に安定的に供給することにつながる。家族経営の切り捨ては地域の切り捨てに直結する。ご一緒に声をあげ、要求を実現しよう」と激励しました。
 全国から集った漁民の代表がマイクを握り、西川征二・長崎県対馬市ひきなわ協議会会長は「今の漁獲枠配分では出漁できないという不満の声を届けにきた。大幅な増枠を」と訴えました。酒井光弘・千葉県沿岸小型漁船漁協組合長は「マグロは増えているが、漁獲枠が少なく、もうけにならない。巻き網中心の数量配分を見直せ」と力を込めました。
 沖縄県八重山地方マグロ船団の高橋拓也さんは「石垣島では出漁期に出漁しても漁獲枠の関係でマグロがとれない。こんな状態を少しでもよくするために今日は参加した」と怒り、泉徳隆・青森県大間漁協まぐろはえなわ部会代表は「何年たっても漁獲枠が改正されず、資源の枯渇につながる。沿岸漁業を守るために漁獲枠の規制を緩和せよ」と強調しました。
 消費者を代表して「なんてったって!伝統食・継いでいきたい日本の食の会」の栗原澄子さんは、「米と魚は日本の食の二本柱。農家と漁業者を守り、子や孫の代まで安定した食料を守るために全国の仲間と署名に取り組んでいきたい」と語りました。

水産庁長官要請 配分の見直しを

森水産庁長官(左から2人目)に要請書を手渡しました

 森健水産庁長官への要請では、「沿岸漁業へのクロマグロ漁獲枠の大幅拡大を求める署名」(第1次集約分)8141人分を提出しました。
 9月24日に開催された水産政策審議会で示された漁獲枠の配分案をめぐり、参加者からは、「とうてい納得できない」「全国で20数社しかない巻き網漁業に多く漁獲枠が配分され、1万を超える沿岸漁業への配分が少なすぎる」「マグロは増えているのにこの枠では、小規模沿岸漁民は生活できない」との痛切な訴えが相次ぎました。
 森長官は、「24日の案はあくまでたたき台だ。ここに沿岸漁業者への配慮を加える」と回答。しかし参加者から、「6年前の漁獲枠制定時も不公平きわまりない『案』がそのまま通ってしまった。今回もそうなるのでは」との懸念の声が噴出。「配分の基礎になっている巻き網漁業と沿岸漁業の配分の比率が、まったく納得いかない。大本から見直してほしい」と、重ねて要望しました。

シンポジウムで配分の問題学ぶ

講演する櫻本名誉教授

 その後、JCFU沿岸漁民シンポ「クロマグロ資源と沿岸漁業を考える」が衆議院第1議員会館で開かれ、櫻本和美・東京海洋大学名誉教授(元水産政策審議会会長)が「クロマグロの資源動向と漁獲枠配分の問題点」と題して基調報告。
 その後、質疑応答とパネル討論が行われ、参加者同士で交流しました。