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第69回日本母親大会 in 和歌山 今こそ憲法といのち、くらしを守ろう!

米不足に怒りいっぱい

 第69回日本母親大会が9月28、29の両日、和歌山市で開催され、オンラインでの視聴を併せてのべ1万1500人が参加しました。

母親大会の原点 「核なき地球」へ

全体会でアピールする農民連女性部の皆さん

 1日目の全体会では、東京都立第五福竜丸展示館の学芸員、安田和也さんが「第五福竜丸、みんなの船 ビキニ水爆実験70年、世界のヒバクシャとともに核兵器なき地球を~」をテーマに講演しました。
 安田さんは、第五福竜丸と和歌山県との縁(えにし)を紹介しながら、ビキニ環礁以外にも多くの核保有国が世界中で2000回以上もの核実験を行い、兵士や現地住民などを被ばくさせてきたことを告発。「第五福竜丸の航海は、核も戦争もない世界に錨(いかり)を降ろすときに初めて終えることができる。平和な港をめざして、航海していきましょう」と呼びかけました。
 各分野・団体の女性たちの活動を交流しあう「今日の運動」では、農民連女性部も登壇。「米不足は政府の農政の失敗が原因です! 今こそ国内農産物を増産できる政治に転換していきましょう」と訴えると、会場からは「そうだ!」の掛け声とともに、ひときわ大きな拍手が沸き起こりました。

自給率向上へ 国は農業を守れ

熱気あふれる発言が続いた食と農の分科会

 2日目は、テーマごとに20の分科会が行われました。和歌山県農民連役員で紀ノ川農協組合長の宇田篤弘さんを助言者に迎えた第10分科会「日本の農業の再生を!」には、会場いっぱいの170人を超える参加者が集いました。
 宇田さんはスライドを使って、「食料自給率を向上させる法律や政策を確立すること」、「食料・農業・農村の多様な人材を育成すること」、「地球沸騰化への具体的な行動をただちに行うこと」の3つを柱に話題を提供。
 参加者からは、米不足や食料価格高騰を招いた自公政権への怒りの声が続出しました。大阪の女性は、「地元の母親大会のテーマを農業と食料にしようと決めた直後に、お米がお店から消え、大騒ぎに。国内の米生産は減らして、輸入米は続けるなんて許せない。今の農政を変えるべき」と発言。また奈良や京都、神奈川など多くの県の参加者から、農民連との産直や交流のとりくみが報告されるとともに、交流が消費者の学びの場となり、地域の農業と食料を守る運動の力にもなっていることが語られました。

地球沸騰化で農業生産困難に

 農民連女性部の参加者も積極的に発言しました。福岡の藤嶋嘉子さんは、「地球温暖化による打撃が深刻。大雨被害、猛暑の草刈り、猛暑で果樹の実が干からびるなど、まともに生産ができなくなっている」と発言。文旦を生産する高知の野田睦美さんも、「猛暑で花が落ちたり、実に黒点がつくなど苦労が増えている」と温暖化の実態を話し、会場からため息がもれました。
 また、農家の高齢化や耕作放棄地の増加を懸念する声も相次ぎました。宇田さんは生産者への支援の拡充の重要性を強調するとともに、「産直交流や農業ボランティア、週末農業など『農業・農村に関わる人』を増やすことが、地域での多様な人材の育成にもつながっていく」と述べました。
 参加者は最後に、「国が責任をもって自給率を上げるために、価格保障や直接補償、中山間地への交付金を拡大すること」などの申し合わせ事項を、満場の拍手で確認しました。

全国と和歌山の女性部で交流会

 母親大会閉会後、農民連女性部の母親大会参加者と、紀ノ川農協女性部や女性職員の皆さんとで、ランチを兼ねた交流会を開きました。
 おいしいお料理を食べながら、作っている作物や農作業の苦労などを交流。作物は違っても、後継者や異常気象など共通した悩みでおしゃべりも盛り上がり、「今後も交流を強めていきましょう」と確認し合いました。