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農業問題学習会に農家や消費者など約80人参加 長谷川会長と小松名誉教授迎えて 山口県農民連(2024年09月30日 第1619号)

米問題は重大関心事

講演する小松さん(左)と長谷川会長

 山口県農民連は8月31日、台風一過の好天気のなか、山口市で農業問題での学習会を開き、農民連の長谷川敏郎会長が「農業基本法改定とアグロエコロジー」と題して、岡山大学名誉教授の小松泰信名誉教授が「地域とともに、暮らしと共に」のテーマで講演しました。スーパーのお米売り場からお米が消えるという「米パニック」の中で関心も高まり、農家だけでなく、消費者、議員など各地から約80人の参加がありました。

県連の執行委員会で、米不足と早期米の高騰、離農者の急増について議論し、「食」と「農」を守るために学習会をやろうと決定しました。すぐにチラシを作って新聞「農民」に折り込み、JA山口本部や農協労、新日本婦人の会山口県本部、共産党県委員会にも参加とチラシ配布のお願いに行きました。市議会議員からも電話があり、「一般新聞に折り込んでいいか」との問い合わせなどがありました。

 米パニックをわかりやすく――長谷川会長

 長谷川会長は、「売る米がない?という混乱を招いているのは、21年の米価暴落を理由に、22・23年産米は20万トン以上の減産を生産者に押し付けた政府の米政策に誤りがある」と述べ、「今回の農業基本法改定で『食料自給率向上』の文字が消えたのもアメリカ言いなりの政治がある。穀物輸入商社からの要望に応え、国内生産ではなく輸入拡大。食料供給困難事態対策法では、イモ、米の作付けを生産者に要請・指示し、従わないものには、20万円の罰金。離農者も予備役で動員できる」と指摘しました。
 アグロエコロジーの問題では、長谷川さんの家にたくさんのツバメが巣をつくり、自由に行きかっている様子や田んぼにはたくさんのクモの巣が張りめぐらされ、朝露に濡れている様子を写真で紹介。「山から切り出した薪(たきぎ)をストーブで燃やし暖房等に。牛を飼っており、牛ふんや草木灰で堆肥を作り畑や田んぼにまいている」と話しました。

 自給率向上の必要性説く――小松先生

 小松先生は、JAの実態を20年前と比較し、事業利益の減少、正組合員戸数の減少、職員数の減少を統計表で図示。「自給率向上のためには(1)飼料米(2)油脂類(3)麦、大豆を増やすことが重要で、特に、農林水産業の多面的機能に注目する必要がある」と述べました。
 さらに「農業者は少数派であり、これからは多様な人々がかかわる必要がある。半農半X(エックス)という言葉があるが、1農9Xでもいい。身近なところから食と農を意識することが重要。特に、消費者と市民という立場の中にあるギャップを埋める必要がある」と力説。「市民感情としては、安全で安心して食べられる農産物には興味を持ち理解もするが、いざ購入するとなると消費者意識が芽生え、安い方に手が出てしまう。食と農を守るためには、このギャップが埋まらないと難しい」と話しました。
 2人への質疑では、2人の絶妙な応答で会場が盛り上がり、終わった後も2人の周りを参加者が囲み、話が続いていました。そんな中で衆議院選挙候補の方が「農民」を講読。元気の出る1日になりました。
 9月10日には新日本婦人の会県本部との懇談が行われ、「農民」2部の購読がありました。
 (山口県農民連事務局長 世良輝久