アイコン 新聞「農民」

旬の味

 里山の空には無数のトンボが飛び交う季節となり、朝晩の寒暖差も激しくなってきました。わが家では、もうストーブをつけています▼稲刈りも残すところ、もち米だけになりました。今年から暑さに強い品種という「にこまる」をは種から始め、5月25日に田植えをし、10月17日に稲刈りを終えました。コシヒカリより25日遅い出穂で心配していましたが、無事、実りの秋を迎えることができて安心しました▼山の稲にはこの時期、稲穂に黒い玉がよく付着しています。今年は平地で栽培していた、にこまるによく見られました。黒い玉の正体は、稲こうじと呼ばれる菌で、稲こうじ病と嫌がる人も多いですが、昔は“いなだま(稲魂・稲玉)”とも言われ、稲の神様として、ありがたがられたという話も読みました▼その何割かにこうじ菌が含まれているらしく、実際に稲こうじからこうじ菌を採取し、種こうじを作っている人もいるそうです。自然から生み出された贈りもの、まさしく稲の魂だな…と私は思いました。(聡)