アイコン 新聞「農民」

〈談話〉政権与党の過半数割れをチャンスに農民要求の前進のために奮闘しよう! 2024年10月28日 農民運動全国連合会会長 長谷川敏郎

 10月27日投開票の衆議院選挙の結果、石破政権与党の自民、公明両党は過半数割れし、2012年以来続いてきた自民一強時代の終えんがもたらされた。これは「政治とカネ」の問題だけにとどまらず、安倍・菅・岸田と続く新自由主義農政への厳しい審判でもある。
 農民連は、2024年1月に開催した全国委員会で「自民党政治を終わらせる国民的大運動に合流し、農政の抜本的転換をめざそう」と決議し、運動を続けてきた。野党は力を合わせて農政の転換を迫れと訴えた新聞「農民」号外を短期間に30万部普及した。

 日本農業新聞の出口調査でも比例区の投票先として自・公合わせて47・6%と過半数を割り込んだ。一方、農民連が一致する要求での行動を絶えず呼びかけてきた立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社民党、れいわ新選組は前回選挙に比べ70議席も前進させた。
 さらに沖縄県では1区と2区で「オール沖縄」の候補が勝利し、総選挙と同時に行われた参議院岩手選挙区補欠選挙では、岩手県農民連と政策協定を結んだ、木戸口英司元参院議員(立憲民主党)が勝利するなど、市民と野党の共同候補が各地で当選している。
 とりわけ、食料自給率向上の概念そのものを投げ捨てた「食料・農業・農村基本法」の改定で政府案に賛成に回った自民、公明、日本維新の会が81議席も減少させたことは日本農業つぶしの農政からの転換を切り開くチャンスである。
 総選挙の各党の公約で食料自給率目標について、自民党は食料自給率の数値目標なし、公明党は現行基本計画の丸写し、維新は「検討中」だったのに対して、立憲民主は「まずは50%」、国民民主も「50%」、共産は「早期に50%を回復し60%」、社民も「早期に50%」、れいわも「まずは50%」と野党が当面50%をめざすことで一致している。(日本消費者連盟の公開質問状への回答)

 選挙前に、石破首相は元農水大臣経験者として「農政通」などともてはやされ、10月上旬の農政モニター調査で「支持する」が64・8%に達していた。しかし、農民連が石破首相の正体を「令和の米騒動を引き起こした張本人=元凶、さらに食料自給率敵視論者」だと明らかにした結果、前述の出口調査では、石破農政への支持は52・8%、12ポイントも落ち込んでいる。
 政権与党を過半数割れに追い込んだチャンスを生かし、食料自給率向上や農家の所得補償、水田活用交付金の拡充、新規就農者支援、食料支援制度の創設など、食と農の危機打開のために奮闘する決意である。