自民一強時代は終えん 政権与党が過半数割れ 農民連が共同を呼びかけてきた野党が前進(2024年12月02日 第1628号)
農民の要求実現のチャンス
10月に行われた衆議院選挙では、石破政権与党の自民、公明両党が過半数割れし、農民連が一致する要求での行動を絶えず呼びかけてきた立憲民主党(立憲)、国民民主党(国民)、れいわ新選組(れいわ)、日本共産党(共産)、社民党(社民)の合計議席は前回選挙に比べ73議席も前進しました。一方で、食料自給率向上を投げ捨てた「食料・農業・農村基本法」の改定(6月)で政府案に賛成に回った自民、公明、日本維新の会が81議席も減少しました。
農民連は、1月に開催した全国委員会で「自民党政治を終わらせる国民的大運動に合流し、農政の抜本的転換をめざそう」と決議し、運動を続けてきました。「野党は力を合わせて農政の転換を迫れ」と訴えた新聞「農民」号外を短期間に35万部普及しました。新しい国会のもとで、日本農業つぶしの農政からの転換を切り開くチャンスです。
多くの野党が自給率50%に引き上げ
各党の選挙公約、政策でみても、私たちの要求を実現できる展望が生まれています。
食料自給率向上の課題では、立憲は「まずは50%」、国民も「50%」、共産は「早期に50%を回復し60%」、れいわも「まずは50%」、社民も「50%の即時達成」と野党が当面50%をめざすことで一致しています。
共通する所得補償・就農支援
所得補償、直接支払いの施策では、立憲が「新たな直接支払制度の構築」、国民が「『食料安全保障基礎支払』を導入」、共産が「主な農産物に生産費に見合う価格保障を確立し、環境や地域、生物多様性の保全に配慮した所得補償も抜本的に強化」、れいわが「欧米諸国並みの手厚い生産者補償、農産物の価格保証」、社民が「戸別所得補償制度の復活」を掲げています。
就農支援の課題では、立憲は「次の時代を担う農業者を幅広く育成・確保するため、就農準備資金・経営開始資金(旧青年就農給付金)、雇用就農資金を交付するとともに、技術面でのサポート体制を整備するなど、研修・経営開始・経営発展の各段階に応じ、総合的な新規就農者に対する支援を行います」、国民は「夫婦の一方が生まれ育ち、親の住んでいた故郷に帰農する場合、年最大250万円を給付する制度(『夫婦ふるさと帰農支援給付金』)を創設。『農業次世代人材投資事業』の充実・強化」、共産は「新規就農者総合支援法制定」、れいわは「就農者支援の充実」、社民は「後継者育成、若年層の参入を支援」としています。
農水委員会も野党が過半数
衆院選を受けて、衆議院農林水産委員会の新しい構成も、定員40人のうち、与党が19人、野党が21人となり、野党が過半数になりました。与党ベースの採決強行は不可能になり、野党の修正案が通る可能性があります。
農民連は、農業分野での市民と野党の共闘を米危機打開・畜産危機打開などの運動を通じて構築してきました。この取り組みをさらに強めるためにも、諸要求での運動をさらに強め、来年の参議院選挙での市民と野党の勝利のために奮闘しましょう。