このままでは5割が離農 農民連 農水省に緊急要請 酪農危機に直接支援を早く!(2025年01月13日 第1633号)
国は経営実態調査し対策とれ

要請書を手渡す長谷川敏郎農民連会長(中央)と日本共産党の紙智子参院議員(右)
飼料・資材の高騰が続くなか、酪農家の離農が止まりません。今年9月時点で約6割の酪農家の経営が赤字、5割近くが離農を検討し、指定団体が受託する酪農家数が初めて1万戸を割った(9960戸)と中央酪農会議が衝撃的な発表を行っています。
年末を迎え年越しにも苦慮する酪農・畜産危機打開に向けて、農民連は12月24日、農水省に緊急要請を行いました。
要請で農民連は、(1)酪農家・畜産農家の経営実態の調査を行い、緊急に直接支援を行うこと、(2)高騰が続く配合飼料への公費での補てん、(3)加工原料乳生産者補給金の価格と数量を再生産可能な水準にすること、など7項目を要求しました。
オンラインで参加した、千葉県の酪農家の金谷雅史さんは、「国は新農基法で食料安全保障を謳(うた)ったが、酪農家の5割が離農を考えている現状で食料が守れるのか。補給金の算定金額は“銭”単位ではなく“円”単位の増額がないと、資材高騰に追いつかない。生産者は誰もが努力している。離農を食いとめるには緊急に直接支援を行わないと、希望が何もない」と、要望。
北海道の酪農家の川口太一さんは、「貯金も切り崩し、金にもならないのに資産を切り売りし、なんとか続けている酪農家がいっぱいる。近所では85%が赤字経営だ。農水省は実態を調査して、有効な対策をとってほしい」と訴えました。
農水省は、「地方創生臨時交付金で酪農・畜産でも活用メニューとして地方に示した。地方議員や自治体に、酪農家自ら要望してほしい。限られた農業予算では限界がある」と答弁。参加者から「酪農危機は全国的なもの。国が対策を」との声が噴出しました。