第7次 エネルギー基本計画「再び原発推進」に強い怒り 福島県農民連 政府・東電に要請行動(2025年01月13日 第1633号)
あんぽ柿の賠償で前進 2年半の「運動の成果」
事故の教訓無視し、原発回帰鮮明に
農地と農民の被ばく 調査し補償を
原発なくすまでたたかう

首相官邸に向け抗議する参加者
福島県農民連は12月19日、政府と東京電力に対して原発再稼働の中止や被災農家への賠償などを求めて要請行動を行いました。
首相官邸前の抗議行動で福島県連の根本敬会長は、2014年の福井地裁の大飯原発差し止め判決を紹介し、「今だけ金だけ自分だけ。命よりも電気が大切という考え方は国を滅ぼす」と批判。第7次エネルギー基本計画案で「原発を最大限活用し、新増設も検討」との方針が出されたことに抗議し、「私たちは命をかけて美しく豊かな国土を守り、根を下ろして生き続ける。原発の息の根を止めるまでたたかい続けるぞ!」と訴えました。
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東京電力に要請書を手渡す根本会長(右)
政府・東電要請行動では賠償面で前進がありました。あんぽ柿の生産者は全量放射能検査を行い、基準値を超えた場合は出荷停止となっています。3人の会員が19年分の賠償請求を22年6月に請求しましたが、連絡ひとつなく2年半も放置されていました。「全く説明がないまま、2年半も放置は極めて異常だ」と指摘し、年内の賠償支払いを求めました。
東電側は時間がかかったことを謝罪し、12月25日までに合意書を出せるよう準備していることを明らかにしました。
福島県北農民連の服部崇事務局長は「追加資料も求められることなく合意書が出るということは書類の不備はなかった。なぜ2年半もかかったのか。ほかの品目は2~3カ月で賠償できるのになぜこんな事態になったのか」と追及。
東電からは再度、被害算定に時間がかかったことの謝罪があり、21年分までの賠償の受け付けを開始し、22年分以降も来年の早い時期に受け付けを開始することと、今後の確認期間は他の品目と同等になることが回答されました。
20日には合意書が届き、3人とも合意しました。服部さんは「これで20年以降の賠償に進めると生産者も喜んでいた。要請を続けてきた成果だ」と話しています。
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一方で、原発推進の姿勢については福島の教訓をなかったかのような姿勢が続いています。
今年1月の能登地震で道路が寸断されたことを受け、11月15日に再稼働した宮城県の東北電力女川原発の避難計画の実効性を指摘し再稼働中止を求めました。
経産省は「脱炭素のために原発は必要」と答弁。太陽光発電が原発のために発電抑制をさせられている事実を問いただしても話をすり替えて認めようとしません。
福島県連は放射線管理区域を超える表面汚染密度の農地があることから、被ばく軽減と健康調査などの対応を既存の枠組みにとらわれず行うことと、条件不利地域として認定し中山間地直接支払いのような新制度を作って補償することを、継続して求めてきました。
農水省は環境省、厚労省と相談したとはいうものの、除染の追加実施検討など既存の方策のみで、「賠償は東電に要求してほしい」と、要請の趣旨を全く理解していない答弁に終始しました。
参加者から怒りとともに「農地の除染は容易にできないが、農民は農地から離れられない。農地を守り、子孫に残していくために現行の枠を超えた対策を」と重ねて訴えました。