新「食料・農業・農村基本計画」 農民連 農水省に提言と要請 自給率向上、飼料用米への支援など明記を

要請書を手渡す(左から)長谷川会長と松本さん
農民連は1月8日、農水省に対して、3月に改定される「食料・農業・農村基本計画」への提言と要請をオンライン併用で行いました。
冒頭、農民連の長谷川敏郎会長が「昨年の衆院選ではほとんどの野党が食料自給率向上だけでなく、所得補償、新規就農支援、農業予算増額で一致している。自民党一強時代の終えん、政権与党の過半数割れという事態にふさわしく、新基本計画の策定に際しては国民と農民、野党の意見を十二分に反映させ、農林水産予算の大幅増額と農政の転換を実現すべきだ」と訴えました。
参加者は、新基本計画策定に向けた議論のなかで、(1)食料自給率という概念そのものが消え失せている、(2)飼料用米についての言及も一切ない、(3)食料支援はNPO任せで国は1円も出さない、(4)直接所得補償(直接支払い)と価格保障の実現、(5)新規就農支援と多様な担い手の確保――などの課題や問題点を指摘しました。
自給率向上の問題で、農水省は、「現在、食料・農業・農村政策審議会で議論され、委員から意見を出してもらっている段階。意見交換をしながら決めていきたい」と述べました。
参加者が「食料自給率の目標」を新計画でも明記し、自給率目標45%を50%に引き上げるつもりがあるのかについて重ねて追及しても、「答えられない」の一点張り。
農業予算増額し国会議論反映を
埼玉農民連の松本愼一副会長は、「加須市で米づくりをしているが、地域では担い手不足と高齢化が進んでいる。農業に希望がもてる施策が必要。スイスでは農業は国防産業であり、手厚い施策が実施されている。農業予算を増やし、万全な災害支援対策を実施せよ」と求めました。
参加者からは、食と農の危機を打開し、離農を防ぐためにも多様な担い手の育成に力を入れ、国連「家族農業の10年」を具体化した施策の実施を要求しました。
さらに「これまでの議論では、国会での議論や基本法成立の際に採択された付帯決議の内容が反映されていない」と迫ると、農水省は「国会での議論も反映させていきたい。地方での意見交換会などを開きたい」と答弁しました。